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お役立ち 2026.09.01
介護施設の見守りカメラとプライバシー|配慮すべき点と導入の4つのポイント
介護施設の見守りカメラは、転倒の早期発見や夜間の見守り負担の軽減に役立つ一方、利用者さんの居室というプライベートな空間に入るため「監視されているようで抵抗がある」「家族にどう説明すればいいか」といったプライバシーの不安がつきものです。
配慮を欠いたまま設置すると、利用者さんやスタッフの心理的負担、家族とのトラブルにつながることもあります。
この記事では、見守りカメラで問題になりやすいプライバシーの懸念点や関係する法律、導入・運用するためのポイントを解説します。自施設にカメラを設置すべきかを判断でき、利用者さんやご家族に「監視ではなく見守りのためです」と自信を持って説明できるようになるでしょう。
▼目次
- 1.介護施設で見守りカメラの導入が進む背景
- 見守りカメラとは離れた場所から利用者さんを見守る機器
- 人手不足と夜間の見守り負担が導入を後押し
- 2.見守りカメラで問題になりやすいプライバシーの懸念点
- 利用者さんのプライバシー|私的な空間と尊厳への配慮
- スタッフのプライバシー|「監視」と受け取られないために
- 3.見守りカメラとプライバシーに関わる法律・ルール
- 個人情報保護法における映像の取り扱い
- 肖像権・プライバシー権への配慮
- 本人・家族への説明と同意
- 4.プライバシーに配慮した見守りカメラの導入の4つのポイント
- 設置場所と撮影範囲を必要最小限にする
- 映像を「見せすぎない」技術でプライバシーを守る
- 映像データの管理ルールを定める
- 本人・家族・スタッフの理解を得てから始める
- 5.介護施設では安全とプライバシーを両立する見守りカメラ運用を
1.介護施設で見守りカメラの導入が進む背景
介護現場では、見守りカメラの導入が一定程度進んでいます。厚生労働省の補助事業として実施された調査によると、居室にカメラタイプの機器を導入しているのは全体で31.9%でした。見守りカメラがどのような機器で、なぜ導入が進んでいるのかを整理しておきましょう。
見守りカメラとは離れた場所から利用者さんを見守る機器
見守りカメラとは、離れた場所からでも利用者さんの様子を確認できるカメラで、転倒・離床・徘徊などの検知に用いられます。近年は、次のような機能を備えた製品が増えています。
● 録画機能による事故発生時の状況確認
● AIによる画像解析での起き上がり・離床の検知
● ナースコールシステムとの連携
● スマートフォンへのリアルタイム通知
防犯目的の監視カメラと混同されがちですが、見守りカメラの目的は「利用者さんの安全確保」です。スタッフの目が届きにくい時間帯や場所を補い、事故の早期発見につなげられる点が特長と言えます。
人手不足と夜間の見守り負担が導入を後押し
限られた人員で複数の利用者さんの安全を守る現場では、特に夜間の巡視やリスクの高い利用者さんの見守りが負担になっています。
厚生労働省の推計では、2040年度に必要な介護スタッフは約280万人とされており、2019年度の約211万人から考えると、今後さらに負担が大きくなる状況です。
見守りカメラを活用すると、定時巡視だけに頼らず必要なタイミングで訪室でき、スタッフの負担軽減につながります。自治体によっては介護テクノロジーの補助金が用意されている場合もあり、生産性向上の取り組みの一環として導入する施設も増えています。
▼関連記事:見守りカメラが病院に必要な理由とは?おすすめの選び方と注意点を解説
2.見守りカメラで問題になりやすいプライバシーの懸念点
プライバシーの懸念は、映される利用者さんだけでなく、ケアにあたるスタッフにも生じます。それぞれ分けて確認しましょう。
利用者さんのプライバシー|私的な空間と尊厳への配慮
居室は利用者さんの生活の場であり、自宅と同じ私的な空間です。着替えや排泄、家族との面会など、他人に見られたくない場面が映り込む可能性があることは、あらかじめ想定しておく必要があります。
カメラを過剰に設置したり、常時映像を見続ける運用にしたりすると、利用者さんに「監視されている」と感じさせ、嫌悪感や不信につながるおそれがあります。
安全確保とプライバシー・尊厳の尊重をどう両立するかが、導入のポイントです。「どこまでなら映さずに済むか」という視点もあわせて持ちましょう。
スタッフのプライバシー|「監視」と受け取られないために
カメラは利用者さんだけでなく、ケアにあたるスタッフの様子も映します。
そのため、導入時に「スタッフが監視されるのではないか」という声が現場から上がることは珍しくありません。特に注意したいのが、映像の使われ方です。評価や叱責のためだけに映像が使われると、スタッフの心理的負担や不信を招きかねません。
一方で、転倒の状況を客観的に確認できれば、「見ていなかったのではないか」という誤解からスタッフを守ることにもつながります。
利用目的を明確にし、スタッフにも事前に説明・合意を得ておく必要があります。
3.見守りカメラとプライバシーに関わる法律・ルール
見守りカメラの運用には、個人情報保護法をはじめとするルールが関わります。施設として押さえておきたい考え方を整理します。
個人情報保護法における映像の取り扱い
個人が識別できる映像は個人情報にあたるため、利用目的を特定し、目的の範囲内で扱う必要があります。見守りカメラでは、「利用者さんの安全確保と事故防止のため」といった形で目的を具体的に定めることが大切です。
そのうえで、「見守り・安全確保」という目的以外に映像を使わないことが原則です。
あわせて、漏えいや不正アクセスを防ぐ適切な安全管理措置も求められます。音声を記録する機能を使う場合は、会話の内容まで残るため、より慎重な判断が必要です。
肖像権・プライバシー権への配慮
法に定められたルールを守り、必要な配慮を行ったうえで運用するのであれば、カメラ設置そのものが直ちに違法となるわけではないと考えられています。問題になるのは設置の目的と範囲、運用の妥当性です。
一方で、居室内の撮影は私的領域への介入度が高く、共用部の防犯カメラとは意味合いが異なるため、慎重な判断が求められます。また、カメラ作動中であることを掲示するなど、撮影していることを明示する運用も大切です。「隠し撮りではない」状態を保つことが、信頼につながります。
本人・家族への説明と同意
見守りカメラは安全を守る目的で使うことを、設置前に必ず本人や家族へ説明し、同意を得ることが実務上の基本です。同意書には、次の項目を盛り込んでおくとよいでしょう。
● 利用目的と設置場所、撮影範囲
● 録画の有無、映像の保存期間
● 映像を閲覧できる人の範囲
● 同意はいつでも撤回でき、不利益がないこと
厚生労働省も、見守り機器の運用にあたっては利用者さん・家族への説明と同意、意向に応じた使用停止などプライバシーへの配慮を求めています。同意を得る過程そのものが、施設と利用者さん・家族の信頼関係づくりにつながります。
4.プライバシーに配慮した見守りカメラの導入の4つのポイント
ここからは、プライバシーに配慮しながら導入・運用するための具体的なポイントを4つに整理して解説します。
設置場所と撮影範囲を必要最小限にする
まず検討したいのが、「安全確保のために本当に必要な場所はどこか」という点です。
転倒リスクの高い利用者さんのベッド周辺なのか、離設のリスクがある出入口なのかによって、必要な台数は変わります。目的から逆算し、撮影範囲を最小限にとどめましょう。
トイレや浴室など、排泄・入浴の場面が映る位置への設置は、原則として避けるべきと考えられています。
また、居室ごとにカメラのオン・オフを切り替えられる運用も有効です。設置後も、目的に対して過剰になっていないかを定期的に見直してください。
映像を「見せすぎない」技術でプライバシーを守る
近年の見守りカメラには、映像をぼかす・モザイクをかける・シルエット化するなど、個人が特定されにくい形で見守れる機能を備えた製品があります。
いわゆるプライバシーモードで、起き上がりや離床は把握できても、着替えや排泄の場面が鮮明には映らない状態をつくれます。
あわせて有効なのが通知の設計です。AIが異常を検知したときだけ通知する仕組みにすると、常時映像を見続ける「監視」を避けられます。ケアコムの見守りカメラシステムのように画面をぼかせる製品なら、安全確認とプライバシー配慮を両立しやすくなります。
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映像データの管理ルールを定める
設置場所や機能に配慮しても、映像の扱いが曖昧では信頼は得られません。
映像を閲覧できるスタッフを限定し、アクセス権限を管理します。誰がいつ閲覧したかを記録できる仕組みがあれば、より安心して運用できます。
また、保存期間をあらかじめ決めて不要なデータは削除し、目的外利用やSNS等への持ち出しを禁止するルールも定めましょう。
本人・家族・スタッフの理解を得てから始める
導入前に、目的・撮影範囲・使い方・データの扱いを書面も用いて説明し、同意を得ます。
家族からは「面会のときに自分たちも映るのか」「部屋のどの範囲まで映っているのか」といった質問が出ることもあるため、撮影範囲や録画の有無は詳しく伝えておきましょう。
同意が得られない利用者さんには、カメラをオフにする、映像を伴わないセンサーを使うなど、代替の見守り方法を用意する必要があります。
▼関連記事:介護施設における見守りカメラの選び方や導入時の注意点を分かりやすく解説
5.介護施設では安全とプライバシーを両立する見守りカメラ運用を
見守りカメラは事故の早期発見やスタッフの負担軽減に役立つ一方、居室という私的空間に関わるため、プライバシーへの配慮が欠かせません。
「監視ではなく見守り」という姿勢を大切に、安全とプライバシー・尊厳を両立できる運用を目指しましょう。
<参考サイト>
▼参考:令和4年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業 介護施設等におけるカメラタイプの見守り機器の効果的な活用に向けた実態調査研究事業 報告書|日本総合研究所
▼参考:介護分野における「生産性向上」とは?|厚生労働省
また、ケアコムでは、介護現場のDXを段階的に進めるための「介護DXを成功させる実践ロードマップ」を無料で公開しています。見守りカメラの設置を含めて、介護DXを進めるために何から着手すべきか不安な方は、ぜひご活用ください。
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