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お役立ち 2026.07.02
看護師のヒヤリハットは事例の分析で防ぐ!起こる原因と再発防止策を解説
医療現場では、重大な事故に至らなかったものの「ヒヤリ」「ハッ」とした経験を、多くの看護師が日常的に経験しています。
こうしたヒヤリハットを「たまたま大事にならなかった」で終わらせず、事例として記録・分析することが、患者さんの安全を守るうえで不可欠です。
この記事では、実際のヒヤリハット事例をもとに起こりやすい場面と原因を整理し、組織として取り組むべき再発防止策を解説します。
ヒヤリハットへの対応にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
▼目次
- 1.看護師のヒヤリハット事例を分析する重要性
- ヒヤリハットは重大事故の警告だから
- 組織全体の安全意識の向上につながるから
- 2.看護師のヒヤリハット事例からみる発生原因
- 与薬ミスのヒヤリハット事例|疲労と確認作業の簡略化
- 転倒転落のヒヤリハット事例|患者リスク認識の不十分さ
- 医療機器の操作ミスのヒヤリハット事例|忙しさによる手順飛ばし
- 患者誤認のヒヤリハット事例|確認体制の不備
- 情報伝達ミスのヒヤリハット事例|口頭伝達への過信
- 3.看護師のヒヤリハット事例から学ぶ再発防止策
- ヒヤリハット報告書の書き方に困らない仕組みを整備する
- ヒヤリハットを報告しやすい文化をつくる
- ヒヤリハット事例を分析して改善策を検討する
- 4.看護師のヒヤリハット事例の共有が患者さんの安全につながる
1.看護師のヒヤリハット事例を分析する重要性
看護師のヒヤリハットの事例は報告して終わりではなく、ヒヤリハットが発生した原因や背景を分析し、再発防止につなげなければなりません。
ここでは、看護師のヒヤリハット事例を分析する重要性について解説します。
ヒヤリハットは重大事故の警告だから
ヒヤリハットの報告・分析が重要なのは、それが重大事故の予兆だからです。
「1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがある」とハインリッヒの法則が示すように、ヒヤリハットの積み重ねは大きな事故につながりかねません。
そのため、日常の小さな気づきを見逃さず報告・分析することが、重大事故の防止につながります。
▼関連記事:ヒヤリハットとインシデントの違いは?事故を減らす方法5つも紹介
▼参考:ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)|職場のあんぜんサイト
組織全体の安全意識の向上につながるから
ヒヤリハット報告を収集・分析する仕組みは、組織全体の安全意識を高めるうえでも欠かせません。
ヒヤリハット報告の目的は、個人の失敗を責めるためではなく、事故につながる可能性のあるリスクを早期に発見するためです。報告が集まることで、特定の場面や業務フローに潜む危険を可視化できるようになります。
さらに、事例を分析して再発防止策を講じることで、同様のミスを防ぎやすくなります。こうした取り組みの積み重ねによって安全に対する共通認識が生まれ、組織全体の安全意識向上につながるでしょう。
ヒヤリハットだけでなく、実際に事故として起きた「インシデント」についても振り返りと再発防止策の検討が重要です。
インシデントについては、以下の記事も参考にしてください。
▼関連記事:看護師のインシデントで多い事例とは?続く理由と再発防止策を解説
2.看護師のヒヤリハット事例からみる発生原因
看護師が日常業務のなかで経験しやすいヒヤリハットを、場面別に6つ紹介します。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業では、多くのヒヤリ・ハット事例が報告されており、薬剤に関する事例は35%(2024年の報告)を占めます。まずは与薬ミスのヒヤリハット事例から再発防止策を確認しましょう。
▼参考:医療事故情報収集等事業2024年年報|日本医療機能評価機構
与薬ミスのヒヤリハット事例|疲労と確認作業の簡略化
夜勤帯、1日配薬の患者に対しアムロジン(降圧薬)の1日分を準備した際、「1錠分2」の指示であったにもかかわらず「2錠分2」で準備してしまった。翌日の日勤看護師が残数の不一致に気づき、患者が内服する前に正しい薬に差し替えた。
▼参考:重要事例情報集計結果|厚生労働省
この事例は、おもに以下のような要因が考えられます。
● 指示量の思い込みと確認不足
● 夜勤帯の疲労による注意力の低下
● ダブルチェック体制の不備
● 特殊な運用(割錠など)の明文化不足
再発防止のためには、与薬準備時に処方せんと薬剤を照合しながら指差し呼称を徹底することが重要です。また、残数確認を日常業務に組み込み、夜勤帯でも可能な範囲でダブルチェックを実施できる体制を整えましょう。
転倒転落のヒヤリハット事例|患者リスク認識の不十分さ
尿意を訴えた患者の排尿介助をおこない、「1時間は大丈夫だろう」と判断してその場を離れた。しかし患者は発熱があり利尿剤も内服していた。その後1人でトイレ歩行しようとして転倒した。
▼参考:重要事例情報集計結果|厚生労働省
上記の事例では、おもに以下のような要因が考えられます。
● 患者の転倒リスク評価が不十分だった
● 発熱や利尿剤内服による排尿頻度の変化を考慮できていなかった
● 離床時の見守り体制が不足していた
● 「しばらく大丈夫」という経験則による判断をした
再発防止のためには、患者さんごとの転倒リスクを継続的に評価し、状態変化があった際はケア方法を見直すことが重要です。
また、離床センサーやナースコールシステムを活用し、患者さんの離床を早期に把握できる環境整備も有効でしょう。
▼ケアコムの離床センサーをみる
▼ケアコムのナースコールシステムをみる
▼関連記事:【転倒転落予防】忙しい看護現場でも実践できる対策3つを解説!
医療機器の操作ミスのヒヤリハット事例|忙しさによる手順飛ばし
マグセント(硫酸マグネシウム製剤)の輸液ポンプを更新する際、10mL/hに設定すべきところ誤って100mL/hに設定してしまった。約15分後に患者が呼吸苦などを訴え、別の助産師が設定ミスを発見した。
▼参考:ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医療機器-|厚生労働省
上記の事例で考えられる要因は、以下のとおりです。
● 多忙な状況による確認作業の省略
● 設定値入力後の再確認不足
● 医療機器操作手順の形骸化
● ダブルチェック体制の不備
設定変更時の指差し確認やダブルチェックの徹底が、再発防止に欠かせません。
また、高リスク薬剤を使用する場面では、機器設定後に別スタッフが確認する仕組みを整えておくと、より安全性の高い管理につながるでしょう。
患者誤認のヒヤリハット事例|確認体制の不備
朝食後の与薬介助の際、配膳車に乗せていた別患者の与薬箱をそのまま持ち込み、ベッドネームと処方せんの照合をおこなわなかった。一方的に処方せんの氏名を読み上げるだけで与薬を実施し、あとから患者の取り違えが発覚した。
上記の事例では、おもに以下のような要因が考えられます。
● 患者確認手順の省略
● 繁忙による焦り
● 複数業務の同時進行による注意力低下
● 同姓や類似氏名による取り違えリスク
この事例を分析した研究では「繁忙・焦り」「業務中断・複数業務の同時進行」「同じ場所やリストからの薬の選択」「同姓・類似氏名」が、患者誤認の背景因子と報告されています。
再発防止のためには、患者さん本人による氏名確認とリストバンド確認を徹底し、ベッドネームや処方せんとの照合を省略しないことが重要です。忙しい場面ほど基本的な確認手順を守りましょう。
▼参考:患者誤認に特徴的な背景因子に関する検討|秋野裕信ら
情報伝達ミスのヒヤリハット事例|口頭伝達への過信
翌日のCT検査の時間について、準夜帯への申し送りで「午前中」と口頭で伝えた。管理日誌・コンピューターとの照合をおこなわなかったため、実際は午後の検査であることを見落とした。患者には誤った時間をもとに遅食・内服の説明をしてしまい、後から謝罪と対応が必要になった。
▼参考:重要事例情報集計結果|厚生労働省
上記の事例では、以下のような要因がかかわっていると考えられます。
● 口頭伝達への過信
● 記録との照合作業不足
● 申し送り内容の標準化不足
● 情報共有ツールの活用不足
再発防止のためには、申し送り時に電子カルテや管理日誌などの記録と照合する習慣を徹底することが重要です。また、口頭伝達だけに頼らず、情報共有システムを活用して最新情報を職員全体で共有できる環境も不可欠です。
ケアコムのケアパルシステムは、ワークシートの自動作成や患者情報の共有機能を備えており、申し送り時間の短縮とスタッフ間の情報共有の精度向上をサポートします。口頭伝達に頼らない仕組みづくりを検討している施設にとって、有効な選択肢の1つとなるでしょう。
▼ケアコムのケアパルシステムをみる
3.看護師のヒヤリハット事例から学ぶ再発防止策
個別のヒヤリハット事例への対応だけでなく、組織として再発を防ぐための仕組みづくりが重要です。
報告書の整備から文化の醸成まで、管理者が取り組むべき3つのポイントを解説します。
ヒヤリハット報告書の書き方に困らない仕組みを整備する
ヒヤリハットが発生した際に、スタッフが迷わず報告を残せる仕組みを整備することが重要です。
「何を書けば良いか分からない」「報告書作成に時間がかかる」といった理由から報告が後回しになり、必要な情報が十分に残らなくなる可能性があるためです。
たとえば、報告書の記載項目を「いつ・どこで・誰が・何をした・どうなった」と5W1Hで整理し、チェックボックス形式を取り入れることで記載負担を軽減できます。また、電子化によって記録の蓄積や検索がしやすくなり、安全管理にも活用しやすくなります。
報告書は反省文ではなく、再発防止のための記録です。客観的な事実を簡潔に記載できる仕組みを整えておきましょう。
ヒヤリハットを報告しやすい文化をつくる
ヒヤリハットを気負いせず報告できる職場環境をつくることも重要です。
「報告すると責められる」「評価に影響するかもしれない」といった不安があると、ヒヤリハットが表面化せず、同じリスクが見過ごされる可能性があるためです。
管理者が報告に対して感謝を伝えたり、匿名で報告できる仕組みを整えたりすることで、スタッフの心理的負担を軽減できます。また、「報告件数が多い=安全意識が高い」と捉える考え方を定着させるのも有効です。
ヒヤリハットを個人の責任ではなく組織の課題として共有できる環境づくりを進めましょう。
ヒヤリハット事例を分析して改善策を検討する
ヒヤリハット事例は報告して終わりではなく、分析して改善につなげることが重要です。
なぜなら、事例を蓄積・分析することで、組織として優先的に対策すべきリスクや課題が見えてくるためです。
たとえば「どの時間帯に多いのか」「どの業務で発生しやすいのか」といった傾向を把握することで、具体的な再発防止策を検討できます。分析結果はインシデントカンファレンスや研修などで共有し、スタッフ全員で改善策を話し合う機会を設けると良いでしょう。
ヒヤリハットを組織全体の学びとして活用することが、事故防止につながります。
4.看護師のヒヤリハット事例の共有が患者さんの安全につながる
今回紹介したヒヤリハット事例は、与薬・転倒転落・医療機器操作・患者誤認・情報伝達など、いずれも日常業務のなかで起こり得るものです。
ヒヤリハットは、同じ状況が重なればインシデントや医療事故につながる可能性があります。そのため、事例を報告・共有し、原因を分析して再発防止策を検討することが重要です。
また、多くのヒヤリハットの背景には、多忙な業務や人員不足、情報共有の課題など、個人の努力だけでは解決が難しい要因があります。組織として仕組みを整え、スタッフが安全に働ける環境をつくることが、患者さんの安全確保にもつながるでしょう。
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