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お役立ち 2026.04.03
ペイシェントハラスメント対応マニュアルの作り方と院内定着のポイント
患者さんやご家族からの暴言・暴力・過剰な要求といった「ペイシェントハラスメント」は、看護師をはじめとする医療従事者の離職にもつながる深刻な問題です。
近年その実態が広く認知されるようになり、厚生労働省もカスタマーハラスメント対策の観点から対応を推進しています。
しかし「ペイシェントハラスメント対応マニュアルを作りたいが、何から手をつければいいかわからない」という看護管理者も少なくありません。
この記事では、看護管理者がペイシェントハラスメント対応マニュアルを作成するためのポイントと、院内に定着させるための工夫を解説します。
スタッフをハラスメントから守りたい、施設として毅然とした態度を示したいという方は、ぜひ最後までお読みください。
▼目次
- 1.ペイシェントハラスメントとは
- 2.ペイシェントハラスメント対応マニュアルを整備する目的
- スタッフを守る「組織としての意思表示」になる
- 人による対応のばらつきを防ぐ
- 3.ペイシェントハラスメント対応マニュアルに盛り込むべき5つの要素
- 1.マニュアル作成の目的
- 2.ペイシェントハラスメントの定義と該当行為の範囲
- 3.ペイシェントハラスメント発生時の対応フロー
- 4.記録と証拠保全の方法
- 5.院内相談窓口・報告の流れの明示
- 4.ペイシェントハラスメント対応マニュアルを院内に根付かせるポイント
- 誰が読んでも迷わない平易な言語・図解で作成する
- 研修・勉強会で全スタッフに周知する
- 管理者が率先して報告・相談を受け止める姿勢を示す
- 5.ペイシェントハラスメント対応の体制を強化するツール
- コードホワイトシステム
- ナースコールシステム
- 6.ペイシェントハラスメント対応マニュアルの適切な運用でスタッフを守ろう
1.ペイシェントハラスメントとは
ペイシェントハラスメントとは、患者さんやご家族からのクレームや言動のうち、要求の伝え方や態度が行き過ぎており、スタッフの就業環境に悪影響を与えるものを指します。
具体的には、以下のような言動が該当します。
● 暴言・怒鳴り声
● 長時間の拘束
● 身体的な暴力
● 性的な言動
● 過剰または不当な要求
ここで注意したいのが「クレーム」と「ハラスメント」の区別です。
正当な苦情や要望はクレームとして丁寧に対応すべきですが、その手段や態度が常識的な範囲を超えている場合は、ハラスメントとして組織的に対応する必要があります。
個人の我慢にまかせる対応には限界があるため、施設として仕組みを整えることが不可欠です。
ペイシェントハラスメントの事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連記事:ペイシェントハラスメントの事例5つ!患者対応と環境整備を解説
▼参考:カスタマーハラスメント対策企業マニュアル|厚生労働省
2.ペイシェントハラスメント対応マニュアルを整備する目的
ペイシェントハラスメント対応マニュアルを整備するのは、以下のような目的があるためです。
● スタッフを守る「組織としての意思表示」になる
● 人による対応のばらつきを防ぐ
それぞれについて詳しく解説します。
スタッフを守る「組織としての意思表示」になる
ペイシェントハラスメント対応マニュアルを整備することは「この施設はペイシェントハラスメントを許容しない」という、組織としての意思表示となります。
そのはっきりとした姿勢が患者さんやご家族への抑止力となるだけでなく、スタッフが「組織に守られている」と感じられる環境づくりにもつながります。
こうした環境は離職防止にも効果が期待できるため、健全な施設運営にはペイシェントハラスメントに対応するマニュアル整備が欠かせません。
人による対応のばらつきを防ぐ
ペイシェントハラスメントに対する行動基準をマニュアルで統一することで、誰もが同じ対応を取れる環境が整い、スタッフ間の連携もとりやすくなります。
マニュアルがない施設では、ハラスメント発生時の対応がスタッフ個人の判断や我慢に委ねられがちです。
経験の浅いスタッフほど「自分の対応が悪かったのではないか」と自責してしまい、被害を報告せずに抱え込むケースもあります。
そのため、ペイシェントハラスメントへの対応をマニュアルとして定め、組織全体で共有することが重要です。
3.ペイシェントハラスメント対応マニュアルに盛り込むべき5つの要素
ペイシェントハラスメント対応マニュアルを作成する際は、以下の要素を盛り込みましょう。
● マニュアル作成の目的
● ペイシェントハラスメントの定義と該当行為の範囲
● ペイシェントハラスメント発生時の対応フロー
● 記録と証拠保全の方法
● 院内相談窓口・報告の流れの明示
それぞれの要素について、詳しく解説します。
▼参考:新潟県病院局ペイシェントハラスメント対策指針|新潟県
1.マニュアル作成の目的
マニュアルの冒頭に「なぜこのマニュアルを作ったか」を明記しましょう。
たとえば、以下のような目的があげられます。
● スタッフの安全と尊厳を守るため
● 組織として毅然と対応するため
● 被害を受けたスタッフを孤立させないため
こうした目的を記しておくことで、スタッフが対応に迷ったときでも、組織としての方針にもとづいて行動しやすくなります。
2.ペイシェントハラスメントの定義と該当行為の範囲
「どこからがハラスメントか」の判断基準を施設として定義します。
暴言・暴力・セクハラ・過剰要求など行為の類型を明示しておくことで、スタッフが迷わず判断できるようになります。
グレーゾーンを放置しないために「施設独自の基準」を設けることも重要です。
院内で実際にあった事例を盛り込むと、よりイメージがつきやすくなるでしょう。
3.ペイシェントハラスメント発生時の対応フロー
発生時の初動から報告までの流れをフロー形式で示します。
可能であれば、以下のようにハラスメントの種類別に対応方法を記載しておくとよいでしょう。
● 暴言を受けた場合:警備員を含めた複数スタッフで説得し、応じなかったら警察対応
● セクハラを受けた場合:音声や映像などで証拠を残し、事実確認のうえ加害者に警告
具体的な対応手順を示しておくことで、現場での判断の迷いを減らし、迅速かつ適切な対応が可能となります。
▼参考:新潟県病院局ペイシェントハラスメント対策指針|新潟県
4.記録と証拠保全の方法
ペイシェントハラスメントを受けた日時や場所、発言内容、対応者名などの記録項目を明示します。
専用の報告フォームや記録用紙を用意しておくと、記録の漏れを防ぎやすくなり、誰でも同じ形式で情報を残せるようになるためです。
写真や音声、第三者証言などの証拠の保存方法もあわせて記載しておくと、あとから組織として対応方針を検討する際に役立ちます。
5.院内相談窓口・報告の流れの明示
被害を受けたスタッフが「誰に・どのように報告すればいいか」をマニュアル内で明確にしておきましょう。
相談窓口の担当部署や連絡先、対応時間まで記載しておくことで、一人で抱え込むリスクを防ぎます。
報告しやすい仕組みがあることが、早期解決と再発防止につながります。
4.ペイシェントハラスメント対応マニュアルを院内に根付かせるポイント
ペイシェントハラスメント対応マニュアルを作成しても、現場で実際に活用されなければ十分な効果は得られません。
現場に定着するポイントを理解し、マニュアルの作成や周知に活かしましょう。
誰が読んでも迷わない平易な言語・図解で作成する
専門用語や難しい表現を避け、新人スタッフでも理解できる言葉で書きましょう。
とくに対応フローは、図解やフローチャートで視覚化しておくと、緊急時でも状況に応じた対応を確認しやすくなります。
印刷して掲示できる形式にしておくと日常的に目に触れやすくなり、マニュアルの定着にも役立ちます。
研修・勉強会で全スタッフに周知する
研修や勉強会で内容を共有し、スタッフ全員が「知っている・使える」状態にすることが大切です。
多忙な現場では、マニュアルを配布するだけでは十分に浸透しない場合があります。
そのため、定期的な研修や勉強会で内容を確認し、実際の対応場面を想定して共有することが重要です。
管理者が率先して報告・相談を受け止める姿勢を示す
スタッフが報告した際に「報告してよかった」と感じられるフィードバックを返すことを意識しましょう。
マニュアルが整っていても、管理者が相談を受け流す文化では「相談しても意味がない」と捉えられてしまい、制度が機能しなくなる可能性があります。
管理者が率先して相談を受け止める姿勢を示すことが、マニュアルの効果を発揮させるうえで重要です。
5.ペイシェントハラスメント対応の体制を強化するツール
対応マニュアルの整備と並行して、設備・ツールを充実させることで、より実践的な体制を整えられます。
とくに有効となる2つのツールを紹介します。
コードホワイトシステム
コードホワイトシステムは、無線押ボタン一つで院内スタッフへ一斉通知を送れるシステムです。
ペイシェントハラスメントが発生した際、声を上げずにすばやく応援を呼べるため、スタッフの単独対応を防ぎます。
導入施設からは「発生場所に駆けつける人数が格段に増え、看護師の安全・安心の確保につながった。環境整備が職員の定着にもつながっている」という声もあがっています。
ケアコムのコードホワイトシステムについて詳しくは下記ページでご覧いただけます。
▼関連記事:ケアコムのコードホワイトシステムをみる
ナースコールシステム
ナースコールシステムの呼出履歴は、過剰要求の客観的な証拠として活用できます。
「何時に何度呼ばれたか」が記録として残るため、対応の事実を示しやすくなります。
また、頻回呼出の傾向を事前に把握することで、対応方針をチームで検討するためのデータとしても役立つでしょう。
ケアコムのナースコールシステムについて詳しくは下記ページでご覧いただけます。
▼関連記事:ケアコムのナースコールシステムをみる
6.ペイシェントハラスメント対応マニュアルの適切な運用でスタッフを守ろう
ペイシェントハラスメントへの対応は、マニュアルの整備・院内への定着・ツールの活用という3つの柱で成り立ちます。
今回紹介した5つの要素をもとにマニュアルの骨格を作り、研修を通じて全スタッフへ浸透させましょう。
さらに、コードホワイトシステムやナースコールといったツールを活用することで、スタッフが安心して働ける環境を整えられます。
ケアコムでは、看護管理者向けのさらに詳しい資料を公開しています。
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