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お役立ち 2026.05.04

コードホワイトの4つの発令事例とマニュアル整備のポイント

「コードホワイトは聞いたことがあるけれど、実際にどのような場面で発令されるのかわからない」このように感じ、マニュアル作成の手が止まっていませんか。
 
院内暴力や不審者対応は、想定していても具体的な事例がなければ判断基準が曖昧となり、事案が生じても職員が1人で抱え込んでしまうリスクがあります。
 
この記事では、コードホワイトの一般的な意味や、実際に発令が検討される4つの事例を解説します。
事例をもとにしたマニュアル整備や運用のポイントも解説しますので、自施設で迷わず使える仕組みづくりに役立ててください。

▼目次

1.コードホワイトの院内放送の一般的な意味と使われ方

コードホワイトは、病院内での暴言・暴力、不審者の侵入など「安全を脅かす事案」が発生した際に発令されることの多い院内コードです。
 
一般の患者さんやご家族に「暴力」「危険」といった表現を直接伝えるのではなく、「コードホワイト3階外来」というように「コード名+病棟名」で院内放送するのが一般的です。
これは、関係する職員だけに危険の発生を知らせる「隠語」の役割を果たしています。
 
ただし、カラーコードの意味は病院ごとに異なります。「自院ではコードホワイトを院内暴力や不審者対応のコードとして使う」というように、定義と運用ルールをマニュアルで明確にしておくことが重要です。

2.コードホワイトの対象となりうる4つの事例

これから紹介する4つの事例は、発令の検討が必要となる代表的な場面です。
自施設のマニュアル整備の参考にしてください。

外来受付や会計窓口での暴言・威嚇

 

<事例>
産婦人科外来の受付職員が、予約時間から数分遅れて来院した患者さんと家族に「現在、医師2名とも診察中のため、待合でお待ちください」と説明した。
患者家族は説明に納得せず、「すぐ診察しろ」と強く要求しながら、壁を蹴る・椅子を投げる・窓口ガラスを叩くなどの威嚇行為を繰り返した。
受付職員と周囲の職員は身の危険とほかの患者さんへの影響を感じ、近くの職員と医師が合流して対応し、周囲の患者さんを離れた場所に誘導したうえで、最終的にこの患者さんの診療継続は困難と判断し、後日他院への紹介対応をおこなった。

 
この事例は、正当な説明への不満が「大声での要求」にとどまらず、壁や椅子、窓口ガラスへの威嚇行為にまでエスカレートした場面です。
 
受付担当者が1人で抱え込むべき段階を明らかに超えており、「ここまで来たら1人で対応しない」という判断基準を組織として共有しておくことの重要性を示しています。
 
▼参考:
医療安全に係るコミュニケーションスキルに関する研究~患者ハラスメントに焦点をあてて~|厚生労働科学研究成果データベース

救急外来での興奮状態・暴力行為

 

救急外来で、飲酒した患者さんが診察までの待ち時間に不満を募らせ、対応した看護師に対して大声で怒鳴る、テーブルを叩くといった行為を続けた。
看護師がなだめても興奮はおさまらず、患者さんはベッドから立ち上がって備品を蹴るなど、周囲の患者さんにも危険がおよびかねない状況になった。
看護師は1人対応をやめてほかの職員を呼び、複数名で距離を取りながら声かけを継続するとともに、警備員を要請。必要に応じて警察への通報も検討した。

 
救急外来は、痛みや酩酊、精神症状などが重なり、短時間で暴力リスクが高まる場でもあります。
 
この事例は「なだめ続けることが最善ではない場面がある」ことを示しており、1人での対応をやめて複数名での対応に切り替えた判断が、職員と周囲の患者さんを守ることにつながりました。
 
▼参考:
患者による院内暴力に対する看護師の状況判断と対処行動-A病院の看護師16名への面接調査から-|仲宗根房子ら

精神科外来や精神科病棟での暴力リスク

 

救急外来併設の精神科病棟で、暴行歴のある20代男性を受け入れた。
鎮静と拘束で一時的に落ち着き協力的となったため、段階的に拘束を解除したが、電話希望がかなわなかったことなどをきっかけに急に興奮し、「帰りたい」と強い口調で主張しながら職員に向かってきた。
看護師がナースステーションに退避しつつ壁のコードホワイトボタンで応援を要請し、駆けつけた職員とともに再拘束した。

 
鎮静後に表面上は協力的であっても、暴力歴・非自発的入院・強い帰宅願望がある場合は、短時間で危険な興奮状態に変化し得ることを示す事例です。
 
「危険なサインが出た時点で早めに応援を呼ぶ」という判断が、職員の身を守ることにつながっています。

一般病棟でのせん妄・認知症患者さんによる危険行動

 

夜勤中、看護師Xさんはせん妄状態の入院患者から暴行を受け、頸椎捻挫などの傷害を負い、休職を余儀なくされた(第一事故)。
復職後、別の入院患者から再び暴力を受けたことをきっかけに適応障害を発症し、再度休職することとなった(第二事故)。
裁判では、第一事故について「ナースコールにすぐ応援に行ける体制・ルールを整えていなかった」などを理由に、病院の安全配慮義務違反が認められ、多額の賠償が命じられた。

 
この事例でのポイントは、裁判で問われたのが「暴力が起きたこと」ではなく、「組織として職員を守る仕組みがあったかどうか」という点です。
 
夜勤帯の少人数体制であっても、1人で対応させない仕組みを整えることが、職員を守り、施設としてのリスクを下げることにつながります。
 
▼参考:
「入院患者から暴行を受けて障害が残った看護師に対し、病院側に安全配慮義務違反があったとして、損害賠償責任を肯定した事案」|あかるい職場応援団

ペイシェントハラスメントについては、下記の記事でも解説しています。

▼関連記事:ペイシェントハラスメント対応マニュアルの作り方と院内定着のポイント

▼関連記事:ペイシェントハラスメントの事例5つ!患者対応と環境整備を解説

3.コードホワイト運用を支えるシステムと体制

先述した4つの事例に共通しているのは「1人での対応に限界が来た時点でいかに早く組織対応に切り替えられるか」が、職員の安全を守ることにつながるという点です。
 
この「早い切り替え」をするためには、マニュアル・システム・教育の3つを整えておく必要があります。
詳しくみていきましょう。

マニュアルの整備

コードホワイトを安全に運用するためには、「いつ・誰が・どう動くか」を迷わず判断できるマニュアルが必要です。
とくに、判断に迷わない基準をシンプルに整理しておくことが、初動の遅れを防ぐポイントです。
たとえば、以下の項目をマニュアルに明記しておくと発令基準やすべき行動がはっきりします。
 

項目 記載例
目的 職員・患者・来院者の安全確保を最優先
対象事例 暴言・威嚇/身体的暴力/器物損壊/不審者の侵入・徘徊
発令基準 「1人では対応困難」「身の危険を感じる」時点で発令可/迷ったら発令
発令権限 誰でも押して良い(または職種・役職ごとに権限を設定)
初動対応 安全確保→応援要請→複数名で対応/無理な制止はしない
外部連絡 警察・警備会社への通報基準と担当者をはっきり設定する
事案後 記録、関係部署への共有、被害職員のケアと再発防止

 
表の内容はあくまで参考です。
 
実際の運用では、自施設の人員配置や設備、夜間体制などに合わせて具体的に落とし込むことが重要です。

職員を守るためのシステム導入

コードホワイトの実効性を高めるには、マニュアル整備に加えて、ボタン1つで応援要請と情報共有が同時に完了するシステムの導入が有効です。
 
口頭連絡や人づての応援要請では、伝達の遅れや行き違いが起こりやすく、対応が後手に回る可能性があります。
 
たとえば、ケアコムのコードホワイトシステムでは、手元のボタンを押すだけで応援要請が発令され、ナースステーションやPHS、スマートフォンへ一斉通知が届きます。
 
ケアコムのコードホワイトシステムをみる
 
発報場所も即座に共有されるため、周囲の職員が迷わず応援に向かうことが可能です。
 
通報から情報共有までを一体化することで、職員が1人で抱え込まずに対応できる環境を整えられるでしょう。
 
コードホワイトシステムの納入事例をみる

教育・訓練と振り返り

コードホワイトを機能させるには、マニュアルからのイメージだけではなく、日頃からの教育と訓練が重要です。
 
新人研修や年1回の全体研修で「迷ったら発令」「1人で抱え込まない」といった、基本方針を繰り返し共有しましょう。
実際のボタンやシステムを使ったシミュレーション訓練をおこなうことで、発令から応援集合までの流れを体験的に理解できます。
 
訓練や実際の事案のあとには短時間でも振り返り(デブリーフィング)の場を設け、「どこが迷いやすかったか」「より安全に動くにはどうすべきか」を共有することが、現場への定着につながります。

4.コードホワイトの事例に関するよくある質問

5.コードホワイトの事例をもとに職員を守る環境を整備しよう

紹介した4つのコードホワイトの事例に共通しているのは「1人での対応に限界が来た時点で、いかに早く組織対応に切り替えられるか」が、職員の安全を左右するという点です。
 
「まだ大丈夫かもしれない」という判断を個人に委ねるのではなく「迷ったら発令」とマニュアルに明記し、組織として職員を守る仕組みづくりが管理者の役割です。
 
マニュアルの整備・システムの導入・定期的な訓練の3つを組み合わせ、院内に根付いた安全の仕組みとしてコードホワイトを運用しましょう。

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