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お役立ち 2025.05.16

介護現場のDXとは?導入のメリット4つと事例、受給できる補助金を解説

「介護のDXってなに?」
「DX化すると、介護現場はどうなるの?」
 
「介護DX」はITツールやAI、ロボットなどのデジタル技術を活用することで、業務の効率化や質の高いケアの提供を可能とすることです。適切に導入できれば、スタッフの負担軽減だけでなく、ご利用者の生活にもよい影響を与えます。
 
この記事では、介護DXの導入によるメリットをくわしく解説し、実際の事例を交えながら効果を紹介します。
実際の効果を知ってから現場のDX化を進めたい介護スタッフは、ぜひ参考にしてください。
 
医療DXについては、こちらの記事で解説しています。
 
▼関連記事:医療DXとは?4つの取り組み事例と医療DXが進まない理由を解説

▼目次

1.介護DXとは

介護DXとは、ITツールやAI、ロボットなどのデジタル技術を導入して、介護業務の課題を改善し、ご利用者には質の高いサービスを、スタッフには働きやすい環境を提供することです。
 
ここでは、介護DXが必要な理由と導入の現状について解説します。
 

介護現場のDX化が必要な理由

介護現場のDXは、深刻化する人手不足と高まる介護ニーズに対応するために不可欠です。
 
2040年頃には高齢者人口が急増し、とくに医療や介護の支援が必要な85歳以上の方が大幅に増加すると予測されています。一方で、支える側の働き手は減少し、介護現場では慢性的な人材不足が課題となっています。
 
こうした状況に対応するために注目されているのが、ICT(情報通信技術)をはじめとした介護DXです。業務情報を紙ではなく電子で管理・共有することで、業務効率の向上や職員の負担軽減が期待できます。
 
また、ご利用者一人ひとりに適したケアの提供や、医療機関・介護事業所間の連携強化にもつながります。
 

介護DXの種類と導入率

「事業所における介護労働実態調査」によると、種類別の導入率は以下のとおりです。
 

導入している機器・システムの種類 割合
パソコンを使用する介護ソフト(ケア記録システム)※利用者情報の入力 66.2%
アプリの入ったタブレット・スマートフォン ※利用者情報の入力に限定 43.3%
無線ナースコール機器 25.3%
見守りセンサー 12.0%
インカム(無線通信機器) 4.5%
移乗支援介護ロボット 1.4%

 
▼参考:
令和5年度介護労働実態調査事業所における介護労働実態調査結果報告書|公益財団法人介護労働安定センター
 
このデータから、介護DXの導入は一部の分野で進んでいる一方で、ロボットやインカムなどの技術は、普及が限定的であることがわかります。

2.介護現場のDX化による4つのメリット

介護現場をDX化することで、以下の効果を得られます。
 
● 職員の負担軽減
● 情報共有の迅速化
● 多職種連携の強化
● 適切なケアの提供
 
くわしく見ていきましょう。
 

1.職員の負担軽減

介護現場のDX化によって手間のかかる作業を自動化でき、業務の効率化と職員の負担軽減につながります。
 
たとえば、介護記録や情報管理がデジタル化されることで、手書きの記録や紙ベースの作業が減り、記録時間を短縮できます。
また、ナースコールシステムと連携したツールの導入により、呼び出しや対応の効率が向上し、職員の移動時間や業務の重複を減らすことが可能です。
 
これにより、職員はより多くの時間をご利用者との直接的なケアにあてられ、負担を軽減できます。
 

2.情報共有の迅速化

介護現場では、ご利用者が安全な生活を送るために情報の共有が欠かせません。
 
従来の手書きや口頭での伝達では情報の漏れや誤解が生じやすく、業務に支障をきたすこともあります。
そこで介護現場をDX化すると、すべての情報がデジタル化され、システムを通じて迅速に情報共有ができるようになります。
 
たとえば、介護記録やケアプランがリアルタイムで更新されるため、ご利用者の「今の」ニーズに応じた適切な対応が可能となり、業務の効率も大幅に向上するでしょう。
 

3.多職種連携の強化

介護現場では、おもに以下の職種が連携してご利用者のケアをおこないます。
 
● 介護スタッフ
● 看護師
● リハビリテーションスタッフ
 
DX化により各職種が使用するツールやシステムが統一されるため、情報共有が円滑になり、連携の強化が期待できます。
 
すべての職員が同じ情報にアクセスできるようになると、ケアの方向性や計画について職種間での認識のズレが減少するでしょう。
 
これにより、チーム全体の協力体制が強化され、より質の高いサービスを提供できます。
 

4.適切なケアの提供

介護のDX化は、ご利用者一人ひとりに合うケアを提供するための重要なツールとなります。
 
たとえば、見守り支援システムやセンサー技術を活用することで、ご利用者の異常を早期に発見し、迅速に対応することが可能です。
また、ケアプランがデジタルで管理されるため、ご利用者ごとのニーズに合わせたサービスを提供できるようになります。
 
これにより、ケアの質が向上し、ご利用者の満足度も高まります。

3.介護現場にDXを導入して効果があった事例

介護現場のDX化によって、さまざまな効果が得られた事例を解説します。
施設の課題にあったDXツールを探す参考にしてください。
 

ナースコールシステム導入でスタッフの業務負担軽減を実現した事例

ナースコールシステムをスマートフォン1台に集約することで、スタッフの業務負担が減った事例です。
 

導入の背景
・ナースコール、PHS、介護記録用タブレットを連動して使っていたが、呼出対応と記録作業が別々で、職員の負担が大きくなっていた
・システムやツールの不具合も多く、更新を重ねても根本的な改善には至らず、システムの一本化が必要だった
導入方法
呼出対応・介護記録・職員間の情報共有をすべてスマートフォン1台に集約
導入後の効果
・呼出情報がテキストで表示されるようになり、内容をひと目で把握できるようになった
・記録作業の負担が軽減し、職員の作業負担が減少した
・申し送りがスムーズになり、情報の引き継ぎ精度が向上した
・業務効率の向上により、新人職員の教育に時間を割けるようになった
・インカムと連動し、呼出音が居室外に鳴らない仕組みを整え、入居者の生活環境が改善された

 
デジタル技術を活用することで、介護現場における課題の解消と業務の質向上が実現されています。
スタッフへの効果だけでなく、ご利用者の生活にもよい影響を与えるのがDXのメリットともいえるでしょう。
 

スマートフォン連動で「手を止めない介護」を実現した事例

今回は、スマートフォンを活用してご利用者へのケアの質向上が実現した事例です。
 

導入の背景
・見守り支援システムのアラート確認のために、パソコンのある場所まで戻る必要があった
・介護記録の入力に時間がかかり、忙しいときには呼出時間を記憶し、あとからまとめて記録していて非効率的だった
・職員の働きやすさを高めるため、施設内のシステムや仕組みの改善を継続的に検討していた
導入方法
ナースコール、見守り支援システム、介護記録ソフトをスマートフォン1台に集約
導入後の効果
・ナースコールの呼出時間や見守り支援システムの情報が自動で介護記録ソフトに連携され、記録時間が短縮された
・スマートフォンとインカムを連動させ、ナースコール通知を音声で確認できるようになり、手を止めずに呼出対応が可能となった
・ICTの活用により業務の効率化が進み、職員の負担が軽減され、ご利用者により丁寧に向き合える体制が整った

 
テクノロジーの導入が業務効率化だけでなく、現場で働く職員の精神的・身体的負担の軽減や、ご利用者の安心・安全な生活環境づくりにも大きく役立つことを示しています。
 
ケアコム製品の納入事例はこちらをご覧ください。

4.介護現場にDXを導入する際に受給できる補助金

介護現場におけるDX推進は、多くの施設にとってさまざまなメリットをもたらします。
しかし、導入にはコストがかかることも事実で、大きなハードルとなっています。
 
そこで活用したいのが、国や自治体が実施している補助金制度です。
 
介護現場でDXを進める際に受給できる主な補助金制度である「介護テクノロジー導入支援事業」では、以下の支援が受けられます。
 

補助対象 補助が受けられる内容 補助金の上限
介護ロボット 移乗支援、移乗支援、排泄支援、見守り、入浴支援など、「介護テクノロジー利用における重点分野」に該当する介護ロボット <移乗・入浴支援>
上限100万円
<それ以外>
上限30万円
ICT ・介護ソフト
・タブレット端末
・インカム
・クラウドサービス
・業務効率化に資するバックオフィスソフト(転記等の業務が発生しない環境が実現できている場合に限る)等
・1~10人:100万円
・11~20人:150万円
・21~30人:200万円
・31人~:250万円
※職員数により変動しない場合は一律250万円
パッケージ型導入 見守り機器等の複数のテクノロジーを連動することで導入する場合に必要な経費 上限400~1,000万円
その他 第三者による業務改善支援等にかかる経費 経費を補助

 
▼参考:介護テクノロジー導入支援事業|厚生労働省
▼参考:ロボット技術の介護利用における重点分野の改訂について│厚生労働省
 
こうした補助金を活用すれば、介護現場に合った新しい機器やシステムを、無理なく取り入れられます。事例でも紹介したナースコールシステムも、補助金を受けられる対象です。
 
ケアコムではナースコール導入や更新に活用できる補助金の最新情報や、申請のポイントをまとめたホワイトペーパーをご用意しています。ぜひご活用ください。

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5.介護DXの今後の課題

介護現場でDXを進めるうえで、費用の負担とスタッフの対応力が課題とされています。
 
補助金制度があるとはいえ、すべての費用をカバーできるわけではなく、導入後の維持費やスタッフへの研修にかかるコストを考えると、施設側の負担は避けられません。
こうした点が、DX化のハードルとなっています。
 
実際の調査でも、「導入コストが高い」と答えた事業所が63.1%にのぼり、「スタッフが使いこなせるか不安」とした事業所も37.7%ありました。
費用面だけでなく、人材面の不安も多くの施設で感じられていることをあらわしています。
 
このような課題に対処するには、現場での課題をしっかりと見極め、それに合ったシステムを選ぶことが大切です。
また、誰でも直感的に使えるシンプルな機能のものを選ぶと、スタッフの抵抗感も少なくなります。
 
レンタルやお試しから、段階的に取り入れていく方法もおすすめです。

6.介護現場のDX化でスタッフの負担減少を目指しましょう!

介護現場におけるDX化は、業務の効率化とともに、スタッフ一人ひとりの負担を軽減する手段の一つです。
 
介護記録や情報共有をデジタル化することで、手間のかかる紙作業を削減し、時間的・体力的な負担が軽くなります。
 
また、スマートフォンやPHS、センサーを活用することで、作業のやり直しや移動する時間が減るため、ご利用者のケアに集中する時間が確保しやすくなるのもメリットです。
 
DX化は、単に機器を導入するだけでなく、スタッフの声に耳を傾けながら運用面でも工夫を重ねることで、より効果的に機能します。
 
介護の質を高めつつ、スタッフの負担も軽くしたいと考えている介護スタッフにとって、DXの導入は大きな一歩になるでしょう。
 
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