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お役立ち 2024.10.31

医療DXとは?4つの取り組み事例と医療DXが進まない理由を解説

「医療DXってなに?」
「医療DXが進むと看護師にどう影響するの?」

 

医療現場でデジタル化が進んでおり「医療DX」という言葉を聞く機会が増えてきました。
しかし、その具体例やメリットなどはよくわからないという看護師の方もいらっしゃるでしょう。

 

この記事では、医療DXとはなにか、そして医療DXが看護師にどう関係するのかを4つの取り組み事例を通してくわしく解説します。
最後までお読みいただくと、医療DXが看護現場でどう役立つのかが分かり、日々の仕事の改善やスキルアップにつなげるヒントが得られます。ぜひ参考にしてみてください。

▼目次

1.医療DXとは

医療DXとは、保健や医療、介護で発生する情報やデータをクラウドなどを通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化や標準化を図ったうえで、社会や生活の形を変えることを指します。国民の予防を促進したり、より良いケアを受けられたりすることが目的の一つです。

 

● デジタイゼーション
紙の記録をデジタルデータに変換するプロセスのこと
● デジタライゼーション
業務フローにデジタル技術を導入し効率化を図る段階のこと
● デジタルトランスフォーメーション(DX)
デジタル技術を用いてビジネスモデルや組織全体を革新し、新たな価値を創出する戦略的プロセスのこと

 
この3段階は、医療分野でも効率向上と患者ケアの質向上に寄与します。一例として、次のことが挙げられます。

 
● 診察記録
● 薬の情報
● 診断書
● 医療費の請求
● 介護サービスとの連携
 

これらを統一された形式で記録することで、医療機関ごとに異なるシステムを導入する必要がなくなり、医療機関同士での情報共有がスムーズになります。

 
情報共有が正しくできれば、診療が途切れなかったり、重複する検査や治療が減ったりするため、患者さんはより質の高い医療やケアを受けられるでしょう。

2.医療DXの4つの取り組み事例

医療DXのくわしい取り組み事例を紹介します。

 

● オンライン予約・問診・診療の導入
● マイナンバーカードを用いた医療情報の一元管理
● 電子カルテ情報共有サービスと標準型システムの活用
● 電子処方せんの導入・運用

 

具体的な取り組みを知ることで、医療DXがどう進んでいるのかがわかります。
くわしく見ていきましょう。

1. オンライン予約・問診・診療の導入

オンライン予約や問診、診療の導入は、医療機関の運営が効率よくなり、患者さんの利便性の向上につながる取り組みです。

 

たとえば、オンライン予約システムにより、患者さんはインターネットで診察の予約ができ、混雑や待ち時間を減少させられます。
問診もオンラインで実施できれば、来院前に患者さんの基本的な情報を収集でき、スムーズな診察につながります。

 

また、オンライン診療は、自宅から医師と対話できるため、遠隔地に住む患者さんや移動が困難な高齢者にとって大きなメリットとなるでしょう。
こうしたシステムの導入は医療サービスの質を向上させ、患者さんの満足度を高められます。

2. マイナンバーカードを用いた医療情報の一元管理

マイナンバーカードを使用した「オンライン資格確認システム」は、健康保険証の情報をデジタル上で確認できる仕組みです。
患者さんの健康や医療にかかわるデータを一元化し、安全で効率的な医療を提供することが目的です。

 

マイナンバー1枚で、主に以下の情報が管理できます。

 

● 薬の情報
● 予防接種歴
● 受診の履歴
● 健康診断の結果
● 傷病名や検査結果
● 健康保険の資格情報
● 公費負担医療の受給者証

 

データを一元管理することで、医療機関が患者さんの情報を迅速に確認できるようになり、診療の質が向上します。
ただし、これらの情報を開示するには患者さんの同意が必要です。

 

参考:厚生労働省「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」
参考:厚生労働省「公費負担医療制度のオンラインによる資格確認について」

3. 電子カルテ情報共有サービスと標準型システムの活用

電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関や薬局をつなぎ、患者さんの医療データを効率的かつ安全に共有する仕組みです。
これにより、患者さんが別の病院を受診した際にも過去の診療記録や処方内容を確認でき、検査や投薬の重複を防げます。

 

また、退院時の診療情報や健康診断の結果もインターネット上に保存され、全国の医療機関で共有できるため、患者さんが転院や引っ越しをしても診療情報を共有できます。
このような医療機関同士のスムーズな情報共有は、患者さんに一貫したケアを提供でき、質の高い治療を可能にするでしょう。

 

参考:厚生労働省「医療DXについて」

4. 電子処方せんの導入・運用

電子処方せんの導入は、医療現場での作業の効率化と患者さんの利便性の向上に役立ちます。
これまでの紙の処方せんに代わり、電子処方せんは医師が発行する処方せん情報をオンラインで薬局に送信する仕組みです。

 

患者さんが処方せんを薬局に持参する手間が省け、薬局も処方せんの内容を迅速かつ正確に確認できるため、調剤ミスのリスクの低下が期待されています。

 

また、電子処方せんは患者さんの薬剤情報を一元管理できるため、過去に処方された薬との飲み合わせの確認や重複投与の防止にもなります。
このように、電子処方せんの活用によって、より安全で適切な治療がおこなわれる環境が整うでしょう。

 

参考:厚生労働省「電子処方箋」

3.医療DXのメリット

看護師が実感しやすい医療DXのメリットは以下のとおりです。

 

● 業務負担が軽減される
● 看護ケアの質の向上につながる
● チーム医療が活性化する

 
1つずつ解説します。

業務負担が軽減される

医療DXが進むと、看護師の業務負担が軽減されます。
たとえば、問診票やカルテの管理がデジタル化されることで、データの受け渡しや記録作業などの業務が減ります。
また、オンライン予約システムを導入すれば、予約対応に追われることもなくなるでしょう。

 

このように、医療DXの進歩によって看護師の業務が効率化でき、負担が減ることが見込まれます。

看護ケアの質の向上につながる

医療DXによって医療データが一元管理できるようになると、看護ケアの質の向上につながります。
通院歴や診療内容、処方歴などを確認できれば、問診表やお薬手帳などから情報を得る手間が省け、看護師の業務量が減るからです。

 

空いた時間を使って患者さんとかかわることで、より患者さんのニーズに近い看護が提供できるでしょう。結果として、個々に合わせた質の高いケアを提供できます。

チーム医療が活性化する

医療DXの導入により、医療チーム内での情報共有がスムーズになり、迅速かつ正確なコミュニケーションがとれるようになります。
異なる職種間でリアルタイムに情報を共有できるため、的確な治療やケアの提供が可能です。
これにより、医師や看護師、薬剤師などがより密接に連携し、治療計画やケアの質が向上します。

 

医療DXが進むことでチームの連携が深まり、患者さんに対して質の高い医療サービスを提供できる体制が整うでしょう。

4.医療DXが進まない理由と課題

医療DXが進まない理由は以下のとおりです。

 

● 高いコスト
● デジタル技術を使いこなす能力の不足
● セキュリティとプライバシーへの不安

 

くわしく見ていきましょう。

高いコスト

医療DXの推進には高額なコストがかかるため、多くの医療機関がシステムの導入を踏みとどまっています。
電子カルテシステムや診療情報のデジタル化には、システムの構築費用や設備の更新費が発生します。とくに、小規模な医療機関では予算が限られており、これらの大規模な投資が難しいこともあるでしょう。

 

こうしたコストの問題が、医療DXの促進を妨げています。

デジタル技術を使いこなす能力の不足

医療従事者の中には、デジタル技術に対する理解や使いこなしのスキルが十分でない方もいます。
新たなシステムやツールの導入には、運用するための十分な教育が必要です。
しかし、忙しい現場では教育の時間が確保できず、指導を受ける機会が限られます。

 

その結果、医療DXの推進に遅れが生じます。

セキュリティとプライバシーへの不安

医療データ管理のデジタル化にともなう情報漏洩や不正アクセスのリスクは、医療機関にとって大きな課題です。
医療データは、個人情報や病歴などの重要な情報を含むため、高いセキュリティ対策やプライバシーの保護が重要です。

 

防御策が不十分だと、関係者の不安が高まり、医療DXの推進が遅れる要因となります。

5.医療DXは看護師の業務効率化に効果的!基本を知り変化に対応する力をつけよう

医療DXを目的としたデジタル技術の導入により、業務の効率化やケアの質の向上が期待できます。
業務の改善や患者さんへのよりよいケアを提供するためには、医療DXの基本を理解することが重要です。
今回紹介した事例を参考に、看護現場の変化に対応する力をつけ、より充実した業務環境をつくりましょう。

 

医療DXを推進するためには働き方改革も重要です。
「医師の働き方改革に伴う看護師への影響」と「改善するためにまず行うべきこと」をまとめましたので、ぜひご覧ください。

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