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お役立ち 2026.06.17

介護施設の人員配置基準とは?種類別一覧と計算方法、遵守のポイントを解説

「自分の施設が基準を満たしているのか不安」「施設によって基準が違うのに、正しく把握できているか自信がない」
 
介護施設の管理者や運営担当者で、このような悩みを抱えている方も多いでしょう。 介護施設の運営において、人員配置基準の遵守は欠かせない課題です。基準を下回ると報酬の減算や事業所指定の取消といった深刻なペナルティを受けるリスクがあります。
 
この記事では、8つの施設類型ごとの人員配置基準を一覧で解説し、常勤換算方法の計算例、基準を守るための具体的な管理手法などを解説します。施設管理者が押さえるべきポイントをまとめましたので、施設運営中の方やこれから施設を立ち上げる方は最後まで読んで日々の運営に役立ててください。

▼目次

1.介護施設の人員配置基準とは

人員配置基準とは、介護保険法や老人福祉法で定められた、介護施設が最低限確保しなければならないスタッフ数のルールです。ご利用者が安心して介護サービスを受けられるよう、施設ごとに必要な職種や人数が細かく決められています。
 
この基準は各施設が独自に設定するものではなく、厚生労働省が施設の種類ごとに定めており、施設はそれに従う義務があります。
 
たとえば、医療的ケアが必要な介護療養型医療施設では医師や看護スタッフの配置が手厚く、在宅復帰を目指す介護老人保健施設ではリハビリテーションスタッフの配置が義務付けられています。パートや非常勤スタッフを含めた適切な管理が必要です。
 
基準を満たさない場合、介護報酬の減算や指定取消といった行政処分の対象となり得るため、施設管理者にとって人員配置基準の正確な理解と遵守は、経営を支える重要な課題となります。

2.介護施設の種別ごと人員配置基準一覧

人員配置基準は、施設類型ごとに異なります。ここでは、代表的な8つの施設類型について解説します。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、常時介護が必要で在宅生活が困難な要介護3以上の高齢者が入所する施設です。生活全般にわたる介護サービスを提供するため、手厚い配置が求められます。
 

職種 配置基準
施設長 1人
医師 ご利用者の健康管理および療養上の指導をおこなうために必要な数
生活相談員 ご利用者100人またはその端数を増すごとに1人以上
介護スタッフまたは看護スタッフ 常勤換算でご利用者3人またはその端数を増すごとに1人以上
看護スタッフ ご利用者数に応じ段階的配置※
栄養士または管理栄養士 1人以上
機能訓練指導員 1人以上
調理員・事務員・その他 施設の実情に応じた適当数

 
※看護スタッフはご利用者30人以下で常勤換算1人以上、30人超50人以下で2人以上、50人超130人以下で3人以上、130人超は50人ごとに1人加算する
 
▼参考:
特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準|e-Gov 法令検索
 
介護スタッフと看護スタッフを合わせて「3対1」が基本配置です。施設長と生活相談員、看護スタッフのうち1人以上は常勤である必要があります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、病状が安定した要介護者が在宅復帰を目指してリハビリテーションを受ける施設です。
医療ケアとリハビリテーションの両方を提供するため、医師や理学療法士、言語聴覚士などの医療専門職の配置が義務付けられています。
 

職種 配置基準
医師 常勤換算でご利用者100人に1人以上
薬剤師 施設の実情に応じた適当数
看護スタッフまたは介護スタッフ 常勤換算でご利用者3人またはその端数を増すごとに1人以上 ※1
支援相談員 1人以上 ※2
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 常勤換算でご利用者100人に1人以上
栄養士または管理栄養士 入所定員100人以上の施設は1人以上
介護支援専門員 1人以上(ご利用者100人またはその端数を増すごとに1人を標準)
調理員・事務員・その他 施設の実情に応じた適当数

 
※1:看護スタッフは総数の7分の2程度、介護スタッフは7分の5程度を標準とする
※2:ご利用者が100人を超える場合、常勤1人+100を超えた部分を100で除した数以上
 
▼参考:
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準|e-Gov 法令検索
 
介護支援専門員は、専属で職務に従事する常勤者でなければなりません。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、長期療養が必要な要介護者に対し、医療・介護・日常生活上の世話を一体的に提供する施設です。
医療依存度の高いご利用者に対応するため、医師や薬剤師、看護スタッフの配置がほかの施設より手厚く設定されています。
 
【療養病床を有する病院の場合】

職種 配置基準
医師・薬剤師 医療法に規定する療養病床を有する病院として必要とされる数以上
看護スタッフ 常勤換算で療養病床の入院患者6人またはその端数を増すごとに1人以上
介護スタッフ 常勤換算で療養病床の入院患者6人またはその端数を増すごとに1人以上
理学療法士・作業療法士 施設の実情に応じた適当数
栄養士または管理栄養士 療養病床100以上の施設は1人以上
介護支援専門員 1人以上(入院患者100人またはその端数を増すごとに1人を標準)

 
▼参考:
指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov 法令検索
 
看護スタッフ・介護スタッフそれぞれが「6対1」の配置が義務付けられています。
介護支援専門員は、介護老人保健施設と同様に、専従の常勤者であることが条件です。
 
なお、診療所型や老人性認知症疾患療養病棟を有する場合は、別基準が適用されます。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせるバリアフリー住宅に、安否確認と生活相談サービスを付加した住まいです。
 
「住宅」としての意味合いが強いため具体的な人員配置基準は設けられておらず、サービスを提供するスタッフの日中常駐のみ義務付けられています。
 

有料老人ホーム

有料老人ホームは、食事・介護・家事・健康管理のいずれかを提供する高齢者向け居住施設です。
民間事業者が運営し、入居者との契約にもとづいてサービスを提供します。施設の自主性を尊重するため、法令上は最小限です。
 

職種 配置基準
管理者 1人
生活相談員 入居者数・サービス内容に応じ配置
栄養士 1人以上
調理員 適当数

 
▼参考:
有料老人ホームの設置運営標準指導指針について|厚生労働省
 
介護サービスを提供する場合も数値基準はなく、介護・看護スタッフや機能訓練指導員を「介護サービスの安定的提供に支障がない体制」で配置します。
ただし、「特定施設入居者生活介護」の指定を受ける場合は、以下の基準に従います。
 

職種 配置基準
管理者 1人(兼務可)
生活相談員 要介護者等100人に対し1人以上
看護または介護スタッフ 要支援者:10対1
要介護者:3対1(常勤換算)
看護職(必須配置) 要介護者等30人まで:1人
30人を超える場合:50人ごとに1人
夜間帯のスタッフ 1人以上
機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
計画作成担当者 介護支援専門員1人以上(兼務可)
※要介護者等100人に1人を標準

 
▼参考:特定施設入居者生活介護|厚生労働省
 
特定施設の指定を受けることで、施設内で介護サービスを提供でき、ご利用者は介護保険を利用できます。

養護老人ホーム

養護老人ホームは、経済的理由や環境上の理由により在宅生活が困難な65歳以上の高齢者が入所する施設です。
介護保険施設ではなく老人福祉法にもとづく措置施設であり、自立した生活を支援するためのスタッフ配置となっています。
 

職種 配置基準
施設長 1人
医師 ご利用者に対し健康管理および療養上の指導をおこなうために必要な数
生活相談員 常勤換算でご利用者30人またはその端数を増すごとに1人以上 ※1
支援員 常勤換算で一般ご利用者15人またはその端数を増すごとに1人以上 ※2
看護職 常勤換算でご利用者100人またはその端数を増すごとに1人以上
栄養士または管理栄養士 1人以上
調理員・事務員・その他 施設の実情に応じた適当数

 
※1:生活相談員のうちご利用者100人または端数ごとに1人以上を主任生活相談員とする
※2:支援員のうち1人を主任支援員とする
 
▼参考:
養護老人ホームの設備及び運営に関する基準|e-Gov 法令検索
 
介護保険施設ではないため、介護スタッフの配置義務はありません。支援員が日常生活の援助をおこないます。
なお、特定施設の指定を受ける場合は、特定施設基準に従います。

軽費老人ホーム(ケアハウス)

軽費老人ホーム(ケアハウス)は、身体機能の低下といった理由で、独立した生活に不安がある60歳以上の高齢者が、低額な料金で入所できる施設です。
自立した生活を支援する施設として、介護スタッフの配置は最小限となっています。
 

職種 配置基準
施設長 1人
生活相談員 ご利用者120人またはその端数を増すごとに1人以上
介護スタッフ 一般ご利用者の数に応じ段階的配置 ※
栄養士または管理栄養士 1人以上
事務員 1人以上
調理員・その他 施設の実情に応じた適当数

 
※一般ご利用者30人以下で常勤換算1人以上、31~80人以下で2人以上、80人超で2人+適当数
 
▼参考:
軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(◆平成20年05月09日厚生労働省令第107号)|厚生労働省
 
施設長と、生活相談員・介護スタッフ・栄養士・事務員のそれぞれ1人以上は常勤でなければなりません。
なお、特定施設指定を受ける場合は特定施設基準に従います。

認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)

認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)は、認知症高齢者が少人数で家庭的な環境のもと日常生活を営む地域密着型サービスです。
専門的なケアが必要とされることから、管理者や計画作成担当者には独自の経験要件が定められています。
 

職種 配置基準
管理者 常勤専従1人(3年以上認知症介護従事経験+研修修了)
介護従業者 日中:常勤換算でご利用者3人に1人以上
夜間:ユニットごとに1人以上 ※
計画作成担当者 事業所ごとに1人以上(うち最低1人は介護支援専門員)

 
※3ユニットの場合、各ユニットが同一階に隣接しており、スタッフが円滑なご利用者の状況把握、速やかな対応が可能で、安全対策をとっていることを要件に、例外的に夜勤2人以上の配置に緩和できる
 
▼参考:
認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)|厚生労働省
 
管理者は認知症ケアの実務経験と研修修了が必須であり、高い専門性を持ったケアの提供が前提となっています。

3.介護施設の人員配置基準の計算方法と具体例

人員配置基準を守るためには、「常勤換算方法」を正確に理解し、パートや非常勤スタッフを含めた全スタッフの勤務時間を適切に計算する必要があります。
ここでは、計算方法の基本と具体例を解説します。

「常勤換算方法」とは

常勤換算とは、常勤・非常勤を問わず全スタッフの勤務時間を合算し、「常勤スタッフ何人分に相当するか」を算出する方法です。 非常勤スタッフは勤務時間が異なるため、単純に頭数で数えることができません。そこで以下の計算式を使います。
 

<計算式>
常勤換算スタッフ数=全スタッフの勤務延時間数の総数÷常勤スタッフが勤務すべき時間数

 
これにより、パートタイムや短時間勤務のスタッフが複数いる場合でも、全体で何人分の労働力があるかを評価できます。

計算例:ご利用者30人の特養の場合

特養では、介護・看護スタッフは「ご利用者3人に対し1人以上」が基準です。実際にこの基準を満たしているか、以下の条件で計算してみましょう。
 

<常勤5人(各160時間)と非常勤10人(各80時間)の場合>
常勤換算:5人+(80時間×10人÷常勤の勤務時間160時間)=10人

 
このように、常勤換算方法を使えば、多様な勤務形態がある状況でも、基準を満たしているかを正確に判断できます。

4.介護施設の人員配置基準の違反例とペナルティ

人員配置基準に違反すると、報酬減算や行政処分の対象となります。たとえば、以下のような違反例が報告されています。
 
● 管理者が実態として常勤していない
● 生活相談員が不在の日がある
● 介護・看護スタッフの配置数が不足している
● 出勤簿や勤務表が整備されていない
 
ペナルティは、いきなり事業停止となるわけではありません。一般的には、まず介護報酬請求の一部制限・新規利用者の受け入れ停止、最悪の場合は事業所指定の取消にまで発展する可能性があります。
 
令和8年度の厚生労働省の資料によると、人員配置基準に満たない場合、原則3割の報酬減算が適用されます。ただし突発的な事情で人員欠如が生じた場合、ハローワークをはじめとする場でスタッフ確保に取り組んでいる事業所は、1年に1回限り3か月間減算が猶予されるとされました。
 
日々の勤務管理を徹底し、欠員が生じたら速やかに対応しましょう。

5.介護施設の人員配置基準を守るための業務管理と環境整備

人員配置基準を守り続けるには、日々の業務管理とスタッフが働きやすい環境づくりが重要です。どのような方法があるか、確かめてみましょう。

シフト管理と勤怠管理の徹底

人員配置基準を守るには、日々のシフト管理が重要です。
勤務表を職種ごとに作成し、常勤換算が基準を満たしているか月次で確認しましょう。
 
看護スタッフの段階的配置や夜勤スタッフといった複雑な要件は、チェックリストで漏れを防止できます。
急な欠勤や離職による欠員は基準違反の最大の要因となるため、併設施設や近隣施設との応援体制を事前に整えておくことが有効です。

スタッフの定着率向上と離職防止

人員配置基準を安定して満たすためには、必要なスタッフ数を確保するだけでなく、長く働き続けられる環境づくりが重要です。
 
たとえば、処遇改善加算を活用した給与改善や、研修体制の充実によるスキルアップ支援は、モチベーション向上につながります。
また、介護DXやICTの導入により記録業務や情報共有の負担を軽減することで、業務負担による離職防止も期待できます。
 
安心して働き続けられる環境を整え、人員配置基準を安定して維持できる体制づくりを進めましょう。

介護DXによる業務環境の改善

記録業務や見守り業務の負担が大きいと、疲弊して離職につながるため、介護記録システムや見守りセンサーの導入で業務環境の改善を検討しましょう。
 
厚生労働省は2024年度介護報酬改定で、ICTや介護ロボットを活用する特定施設に限り、人員配置基準を一定程度緩和できる特例措置を導入しました。
 
業務環境を改善することで定着率が向上し、安定的な人員確保が実現します。

6.人員配置基準を守り、持続可能な施設運営を実現しよう

人員配置基準は、ご利用者の安全とサービスの質を守るための重要な基準です。この基準を満たせなければ、減算や指定取消につながる可能性もあり、施設運営へ大きな影響を与えます。
 
そのため、施設種別ごとの配置基準や常勤換算方法を正しく理解し、日々のシフト・勤怠管理を適切におこなうことが欠かせません。
あわせて、処遇改善加算の活用や研修体制の整備、介護DXの導入などを通じて、スタッフが働き続けやすい環境づくりを進めることも重要です。
 
人員配置基準を安定して守れる体制を整え、施設の信頼性と持続可能な運営につなげましょう。
 
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