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お役立ち 2022.08.25

「トイレくらいでナースコールを押すのも…」申し訳ないと思う患者と看護師の本音

入院時、患者さんは「ナースコールっていつ押したらいいの?」「忙しそうだから押すのも申し訳ない」と感じがち。

一方で、看護師さんは「あの患者さんはなぜか押してくれない」「後から容体が悪化して大変なことに…」と悩むことも。

立場が違えば考えることも異なるため、今回はお互いの意見から背景を考え、それぞれの立場でできる工夫を紹介します。

ナースコールのボタンを握る患者の手

▼目次

1.ナースコールに対する患者の意見

ナースコールを申し訳ないと思うその理由は?

 

看護師は基本的に忙しい職種と言われています。朝一番のミーティング、各種測定や検査、入院患者のケア、ナースコールだけでなく医療機器などからのアラート対応、薬剤関連業務などと、たくさんの仕事があります。特に夜勤はスタッフが少なく、広い病棟を一人で回るのにも限界があります。

 

そのように忙しくしている看護師さんの様子を見ていると、「何かあったら呼んでくださいね」と伝えられていても

 

  • ・こんなことで押してしまっていいのかわからない
  • ・嫌がられるのではないか
  • ・夜遅いし迷惑かもしれない
  • ・トイレくらいなら一人で行ってしまおう
  • ・少し体調が悪いけれども我慢できそう

 

と考えてしまいますよね。

 

入院生活で、ある程度の期間を共に過ごす患者さんからすると、やはり自分と接する身近な人には嫌われたくないと思うのが普通だと思います。

2.ナースコールに対する看護師の意見

説明しても押してもらえない

 

看護師さんからすると「何かあったら呼んでくださいね」と患者さんに伝えているけれども、容体がかなり悪化するまで呼ばれなかったり、ナースステーションまで用件を伝えに来られてしまったりしたという経験はありますよね。

 

そういった時は「なんでもっと早く呼んでくれなかったの?」「ベッドから起き上がらずに来るまで待っていてほしい」となりがち。

 

頻繁に押されると他業務に支障がでる

 

また、もちろん容体の変化などについては呼ぶべきなのですが、直接のケアに関わらないような

 

「テレビのチャンネルを変えてほしい」

「ティッシュをとってほしい」

 

といった用件で頻繁に呼ぶ方がたまにいます。そんな時、看護師さんは「私は便利屋じゃない!」と感じてしまったり他の業務に差し障りが出てしまったりすることも。

 

ただ、状況によっては患者さんのストレスにつながってしまうことや、自分一人でやろうとして怪我をしてしまうのではないかと考えると、呼ばれると見に行かないわけにもいきません。

テレビのチャンネルを操作する患者の手

3.お互いの背景にあるもの

お互いの意見の背景には、どんな原因があるのでしょうか。

 

細かく言えば色々ありますが、大きくまとめると

  • ・知識の差
  • ・人間関係の構築
  • ・人手不足

が背景にあると考えられます。それぞれ説明していきます。

 

知識の差

 

看護師さんは頭の中で、この時は呼んでほしいというイメージがありますが、医療の専門ではない患者さんからするとどんな時に呼ぶべきか「知識がないから判断ができない」のです。

 

例えば、自分が何かの仕事に新人として携わった時のことを思い出してみるとイメージしやすいです。忙しそうにしている先輩や上司の業務の合間に、いつ声をかけたらいいのだろうか、こんなことで質問してしまっていいのだろうかと尻込みしてしまった経験が誰しも一度はあるのではないでしょうか。また、声をかけたら忙しそうで嫌な顔をされてしまったとこともあると思います。

 

そのため、看護師さんから「何かあったら呼んでくださいね」と言われた時に、患者さんは「何か」が何なのかは分からず、申し訳ないと思いがちな患者さんは我慢してしまうというわけです。

 

人間関係の構築

 

我慢してしまう患者さんがいる一方で、看護師さんの他の業務に支障が出るほど頻繁にナースコールを押してしまう方もいます。こちらは知識の差だけでなく、原因の二つ目として人間関係を築こうという意思が薄いことも起因しています。

 

仕事だからやって当たり前、自分は入院して不自由だからどんな生活の世話もしてもらえると勘違いして、便利屋として扱ってしまいがちな方もいます。残念ながらこういった方がいると、担当している看護師さんは疲弊しやすく、他の患者さんへの対応も気持ちよくできなくなってしまいます。

 

あまり考えたくはないですが、呼びすぎてしまうと他の患者さんへの対応の妨げになってしまったり、いざ急変した時にナースコール通知があったとしても「またあの患者さんだ…テレビのチャンネル変更の話だろうな」と思って反応が遅れてしまったりするなど、看護師さんも人なのでそのようなことが絶対ないとは言い切れません。

 

患者さんの中には、自分は普段頻繁に呼んでいるわけでもないのにナースコールを押しても来てくれなかった、という経験をした人もいると思います。忙しさが主な原因ではあると考えられますが、他に頻繁に呼んだ人がいてあまりコール通知自体に良い思いを持っていないという看護師さんも中にはいます。

 

人手不足

 

原因の三つ目は、そもそも看護師不足であることです。

 

医療従事者は基本的に人手不足で、特に諸外国と比べても日本は人口あたりの病床数が多く、それだけ病院スタッフも必要になります。また、高齢化社会での患者数増加に加えて、業務が多く、夜勤もあり不規則な勤務となると離職する人も多いのが現状です。

 

そうなると、患者さんにかけられる時間が少なくなりますし、ベテランナースが育ちにくくケアの質が低下してしまうということも起こりえます。

4.患者側でできる工夫

では、改善は難しいのではないかと思われるかもしれませんが、まずできることから始めるのが大切です。

 

タイミングを知る

 

患者さん側で看護師さんの業務のタイミングを知っておくことで、気を遣いすぎることへの防止につながります。

 

例えば、点滴が終わった時には呼んでほしいと考えている人は多いです。看護師さんは一人の患者さんだけ見ているわけではないので、必ずしも点滴が終わるタイミングに戻ってくるとは限りません。

点滴は、終わった後もそのまま放置していると逆流するという現象が起きてしまうため、点滴が終わった後は必ずナースコールを押して呼ぶようにしましょう

 

当社では、患者さんに分かりやすいように点滴ボタンを配置したナースコールもご用意しているくらいです。

 

点滴・トイレ呼出時に呼んでもらいやすいナースコール子機はこちら

 

一方で、忙しくて看護師さんがあまり呼ばれたくない時間帯として、引継ぎの時間帯が挙げられます。朝8時~9時頃、16時前後は次の勤務帯の看護師と引継ぎをしているタイミングなので、急を要するものでなければ避けてあげると良さそうです。

この辺りは病院によっては若干異なることもあるため、気になる場合は看護師さんへ直接聞いて確認してみてもいいかもしれません。

 

看護師へお礼を伝える

 

中にはあまりいい対応をされなかった経験があって、それ以降呼出しづらくなってしまったという方もいると思います。

 

看護師さんも忙しい業務の中、できるだけ患者さんには忙しそうに見えないようにしていたり、イライラしている姿を見せないようにしていたりする方もいるのですが、どうしても伝わってしまうこともあります。

 

看護師さんも人なので、頼られた時に何も言われないよりは、たまに感謝の言葉を伝えてもらえるほうがやりがいになります。コミュニケーションをとっておくことでお互いに気持ちよく過ごしやすくなると思うので、まだ何もしていなかったという方はまずはお礼を伝えることから始めてみましょう。

 

看護師が別の業務で病室に来た際に伝える

 

時にはささいなことでも呼びたいなと考えてしまうこともあると思います。

 

例えば、テレビの電源がつかないからどうにかしてほしい、お茶をとってほしいなどの「わざわざ呼んだら迷惑かもしれない」と思うことであれば、看護師が別の業務で病室に来た際に伝えるようにしましょう。

 

でも迷った時には押す

 

これまでの紹介した基準を見てきも判断がつかず迷う、という場合は呼びましょう。考え方を変えてみるといいのですが、もし自分が押さなかったことで看護師さんに更なる業務負担や責任を負わせることになったとしたらどうでしょう。

 

例えば高齢者に多いのは、一人でトイレに行こうとしてベッドから立ち上がり、結果転倒・転落し骨折してしまったという事故。そうなると、患者さん自身の骨折治療もしないといけないのももちろんそうですが、起きてしまった事故として病院内で周知されてしまったり、場合によっては事故を起こしてしまった責任をご家族から追及されてしまったりすることがあります。

 

他には、なんだか調子が悪いと感じたけれども「こんな遅い時間に呼んで大丈夫かな」「体調の波かもしれない」と我慢していたら翌日症状が悪化して、次からは早めに呼ぶようにと先生から注意されてしまった、といったこともあります。

 

そのため、過信しすぎたり遠慮しすぎたりせず、病室内で何かひっかかったりすることがあれば我慢しないようにしましょう。

看護師が患者に微笑んでいる

5.看護師側でできる工夫

事前に具体例を伝えておく

 

忙しいと「何かあったら押してくださいね」と説明を少し流してしまいがちですが、「何か」の具体例を交えて伝えておくことで、患者さんから適切なタイミングで呼んでもらいやすくなります。

 

「呼ぶことを申し訳ないと思う患者さんが多いのだけれど、遠慮せずに押してくださいね。特に体調が悪い時や点滴が終わった時、トイレに行きたい時は必ず押してください。」と伝えておくことで、最低限呼んでほしい時には押してもらいやすくなる対策になります。

 

システムでカバーする

 

また、患者さんの状況に応じて見守りシステム等を設置し、ナースコールが押されなくても起き上がろうとした際に自動で通知される仕組みを整えておくことも大事です。基本的にはセンサーが離床動作を察知すると通知される仕組みですが、ずっと患者さんを見ているわけにもいかない中だと、何も導入していないよりかははるかに事故を起こす確率も減らせますし、また事故が起きてしまったとしても早期発見につながります。

 

離床動作を検知して通知する見守りカメラシステムはこちら

 

昨今の見守りシステムは、ナースコールと連動してPHSやスマートフォン、ナースステーションのナースコール端末にも通知できるものが多いので、ステーションに人がいない時にも手元の端末で気づけることが多いのでオススメです。

 

また別途、患者さんの中には身体上の理由(例えば、身体に障がいがあったり、ナースコールを押す力がなかったり)でナースコールを押せないという方もいるので、そういった方でも呼出しできるナースコールもあります。

 

わずかな動作や動かせる部位を使うことで呼出しできるマルチケアコールはこちら

 

 

いかがでしたか?ナースコールを押すのが申し訳ない・押せない患者さんと、対する看護師さんの本音について、今一度考えてみるとお互いどうしてほしいのかより理解が深まったのではないでしょうか。患者さんの入院生活、看護師さんの業務にとって少しでもより良い環境につながれば幸いです。

 

医療施設用コンピュータナースコールはこちら

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