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お役立ち 2025.12.08
【転倒転落予防】忙しい看護現場でも実践できる対策3つを解説!
転倒・転落は、看護の現場で多く発生する事故のひとつです。
とくに夜間や少人数勤務の時間帯では、看護師がすべての動きを見守るのは難しく、思わぬ事故につながることもあります。
この記事では、忙しい看護現場でも実践できる転倒転落予防の対策とICTを活用した見守りカメラ導入事例、転倒を防ぐことで得られる看護現場のメリットを解説します。
患者さんの安全を守りながら、安心して働ける環境づくりのヒントとしてお役立てください。
▼目次
- 1.なぜ転倒転落は起きるのか?看護師が知っておくべき要因
- 2.忙しい看護現場でもできる転倒転落予防の実践ポイント3つ
- 1.転倒の3大要因を排除できているかチェックする
- 2.転倒転落予防の看護計画に個別性を持つ
- 3.転倒転落予防に効果的なICTの導入
- 3.転倒転落予防として看護現場に見守りカメラを導入した事例
- 夜間の離床を素早く察知し、安全確保につなげた事例
- 活動量の多い病棟で、転倒リスクを減らしながら自立支援を実現した事例
- 4.転倒転落防止で看護現場に得られるメリット
- 患者さん視点の安心・QOL向上
- 看護師/医療スタッフ視点の業務効率化・心理的安心
- 施設・病院視点のコスト低減・リスク管理強化
- 5.多忙な看護現場の転倒転落予防はICT導入を検討しよう
1.なぜ転倒転落は起きるのか?看護師が知っておくべき要因
患者さんの転倒転落を予防するには、まず「なぜ起きるのか」を明らかにしなければなりません。
転倒転落の要因は、大きく「患者さん側」「看護師側」「施設環境側」の3つにわけられます。それぞれの要因を以下の表にまとめました。
| 要因 | おもな内容 | 看護現場での具体例 |
|---|---|---|
| 患者さん(身体・行動要因) |
・加齢による筋力・バランス能力の低下 ・薬の副作用 ・認知症、せん妄などによる判断力低下 |
・夜間トイレで立ち上がりふらつく ・歩行補助具を使わず移動する ・眠前服用後にナースコールなしで離床する |
| 看護師(人的要因) |
・情報の共有不足 ・リスクアセスメントの形骸化 ・業務過多 |
・勤務交替時にリスクが伝わっていない ・ナースコールへの反応が遅れる ・環境整備が後回しになる |
| 施設環境(外的要因) |
・ベッドの不適切な高さ調整 ・滑りやすい床 ・夜間の少ない人員体制 |
・暗い病室で足元が見えにくい ・ベッドサイドに荷物が散乱している ・廊下やトイレまでの照度が不十分である |
転倒や転落は、こうした要因が組み合わさって起こります。
病棟で起きやすい転倒転落の原因を追及することから始めてみましょう。
介護現場における詳しい対策については、以下の関連記事もご参照ください。
▼関連記事:転倒のヒヤリハットが起こる原因3つ|転倒事故になる前にできる対策とは
また、認知症の転倒転落については、以下の記事で解説しています。
▼関連記事:認知症の方が転倒転落をくり返すのはなぜ?すぐにできる対策5つを解説
2.忙しい看護現場でもできる転倒転落予防の実践ポイント3つ
転倒転落の予防は、特別な設備や大がかりな体制変更がなくても実践できます。
自分の病院や病棟で起きている転倒転落の要因に合わせて対策をとり、しっかり事故予防につなげましょう。
1.転倒の3大要因を排除できているかチェックする
転倒転落を防ぐには「患者さん側」「看護師側」「施設環境側」の3大要因をそれぞれ排除できているかの定期的なチェックが必要です。
たとえば患者さん側の場合、既往歴や服薬状況、ADL(日常生活動作)、夜間の排泄パターン、認知機能の変化を定期的にアセスメントしましょう。
睡眠薬や降圧薬の服用開始後はふらつきリスクが高まるため、観察を強化する必要があります。
看護師側の要因チェックでは夜間や少人数勤務時の巡視体制、施設環境側では照明の明るさ、床の段差や濡れなどを確かめます。
できればチェックリスト化し、1勤務1チェックから始めてみると負担なく続けられるかもしれません。
2.転倒転落予防の看護計画に個別性を持つ
一律の「ベッド柵設置」「巡視強化」だけでは、個々のリスクに十分対応できません。
転倒転落予防の看護計画では、患者さんごとに既往歴や服薬状況、ADL、夜間の行動パターン、認知機能をアセスメントし、個別に対策を立てることが重要です。
たとえば、以下のような対策が有効です。
| 転倒・転落しやすい状況 | 具体策の例 |
|---|---|
| 立ち上がり時にふらつく | ベッドの高さを低く調整し、両足がしっかり床に着くようにする |
| 夜間トイレに1回起きる習慣がある | トイレで起きやすい時間帯に離床センサーの感度を上げ、動作を素早く察知する |
| リハビリテーション中に強いふらつきがある | 移動時の付き添いを強化し、手すりの活用を促す |
個別性のある看護計画を立てることで、患者さんの状態に応じた効果的な予防が可能になります。
看護計画の立て方については、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
▼関連記事:転倒転落リスクの看護計画|短期・長期目標や個別性を考慮した立案方法を解説
3.転倒転落予防に効果的なICTの導入
忙しい現場では、転倒リスクを人の見守りだけで防ぐのに限界があります。
近年は、ICTを活用した転倒転落予防が注目されており、以下のようなツールが代表的です。
● 離床センサー(起き上がり動作を自動検知)
● 見守りカメラ(遠隔で動きを映像で見守り夜間や少人数体制でも動きを可視化)
● ナースコール連携システム(センサーからのアラートをスマートフォンに通知)
なかでも見守りカメラは、患者さんのプライバシーを確保しながら「動作の変化」「起き上がり兆候」を早期に把握できるため、転倒転落の発生前に介入できます。
患者さんごとのトイレの時間帯を把握し、その時間に集中的に見守ることで、効率的な転倒予防が可能となるでしょう。
3.転倒転落予防として看護現場に見守りカメラを導入した事例
実際の医療現場では、見守りカメラの導入により転倒転落予防の効果を実感している施設もあります。
見守りカメラ導入後の効果を、具体的に見ていきましょう。
夜間の離床を素早く察知し、安全確保につなげた事例
今回の事例では、見守りカメラの導入により夜間の転倒転落予防体制を強化しました。
導入前後の変化は、以下のとおりです。
| 導入前の課題 | 導入後の効果 |
|---|---|
|
・夜間はスタッフが少なく、患者さんの離床や動き出しの瞬間を把握できなかった ・ナースコールが鳴ってから訪室するまでのタイムラグにより、転倒リスクが高まっていた |
・「見守りカメラ+ナースコール連携システム」を導入し、離床や動作の兆候をリアルタイムで検知できるようになった ・スタッフステーションで映像確認が可能になり、優先的にケアすべき患者さんを判断できるようになった ・夜間の安全確保と業務効率化を両立できた |
見守りカメラの導入により夜間の安全確保と看護師の負担軽減の両立が実現しました。
少人数体制でも質の高いケアを提供できる環境が整備されたことで、患者さんとスタッフ双方に安心をもたらしています。
活動量の多い病棟で、転倒リスクを減らしながら自立支援を実現した事例
リハビリテーション病院や回復期の病棟など、活動量の多い場所では、患者さんの自立を促しながら安全を確保する必要があります。
そのような状況で見守りカメラを導入したある病院の事例を、以下にまとめました。
| 導入前の課題 | 導入後の効果 |
|---|---|
|
・ADL向上を目指すリハビリテーション病棟では、患者さんの活動量が多く転倒転落が発生しやすかった ・従来の離床センサーでは、行動の前兆を捉えられず対応が後手になりがちだった |
・「見守りカメラ+エリア検知システム」により、病室内の行動を遠隔で把握可能となった ・必要な場合のみ訪室する効率的な見守りを実現できた ・身体拘束を減らしながら、安全性と自立支援の両立が可能となった |
この事例では、見守りカメラの導入により転倒リスクを減らしながら患者さんの自立を支援する環境が実現しました。
活動的な患者さんの安全を守りつつ、過度な制限をかけない質の高いケアが提供できています。
4.転倒転落防止で看護現場に得られるメリット
転倒転落の予防は、患者さんの安全確保だけでなく、看護師・医療スタッフや施設・病院にも多くのメリットをもたらします。
それぞれの立場から得られるメリットを具体的に見ていきましょう。
患者さん視点の安心・QOL向上
転倒転落を未然に防ぐことで、患者さんはケガや合併症のリスクを回避でき、安心して療養生活を送れるようになります。
たとえばリハビリテーション中の患者さんであれば、転倒への不安が軽減されることで積極的に運動へ取り組めるようになり、結果として回復のスピードアップが期待できるでしょう。
転倒による骨折や外傷は、治療期間の延長や新たな疾患の引き金となり得ます。
患者さんのQOLを高めるためにも、転倒転落予防は欠かせないのです。
看護師/医療スタッフ視点の業務効率化・心理的安心
転倒事故への対応に追われる時間が減れば、看護師は巡回や観察、患者教育といったケア業務に集中できるようになります。
転倒が発生すると事故報告書の作成からご家族への説明、再発防止策の検討まで、多くの時間と労力が必要になるためです。
また、転倒インシデントが少ない職場では「また起きたらどうしよう」という心理的負担が軽減され、職場全体のストレス低減にもつながります。
見守りカメラといったICTツールがあれば、夜勤の少人数体制でも「患者さんを見守れている」という安心感が得られるでしょう。
施設・病院視点のコスト低減・リスク管理強化
転倒や転落による入院期間の延長、追加治療、損害賠償リスクなどは、施設経営にとって負担が大きくなりがちです。
しかし、予防体制が定着すればこれらの負担を抑えられ、質の高いケア提供と安定経営の両立が可能となります。
転倒転落予防への投資は、長期的な医療の質向上とコスト削減を同時に実現する戦略的な施策といえるでしょう。
5.多忙な看護現場の転倒転落予防はICT導入を検討しよう
転倒転落は、患者さんと看護師、施設環境の3つの要因が重なって発生します。
予防には、これらの要因を排除するチェック体制、個別性のある看護計画、そしてICTツールの活用が効果的です。
なかでも見守りカメラといったICTツールは、夜間や少人数体制でも患者さんの動きを可視化し、転倒リスクを早期に察知できます。
実際の導入事例でも、夜間の安全確保やリハビリテーション病棟での自立支援と安全の両立が実現しました。
転倒転落の予防は患者さんのQOL向上だけでなく、看護師の業務効率化、施設のコスト低減など、多方面にメリットをもたらします。
忙しい看護現場だからこそ、ICTを活用した効率的な予防体制の構築を検討してみてください。
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