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お役立ち 2024.06.07

タスクシフトとは?4つのメリットやデメリットを詳しく紹介

「タスクシフトって何?」「タスクシフトが進むと、看護師の業務はどうなるの?」
このように不安を感じている看護師の方は多いでしょう。

本記事では、タスクシフトの概要やメリット、デメリットなどについて具体例を交えて解説します。タスクシフトが進むなかで、看護師にどのような影響があるのか疑問を感じている方の悩みを解決できるきっかけになれると幸いです。

▼目次

1.タスクシフトとは?|業務を他職種に移管し負担を軽減・共有すること


タスクシフトとは「業務を他職種に移管し負担を軽減・共有すること」です。
タスクシフトで医師の業務の一部を看護師や薬剤師などに移管すると、医師の業務量や長時間の労働を抑える効果が期待できます。
さらに、看護師や薬剤師などのコメディカル間で業務を移管したり共有できたりするケースもあります。

 

このように業務の移管や共有により医療従事者の健康を確保できるため、結果として質の良い医療が提供できるでしょう。

 

▼参考:日本看護協会「看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアに関するガイドライン及び活用ガイド」

タスクシフトが必要な背景

タスクシフトが必要になった背景には、2019 年「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」による時間外労働の上限規制があります。
この法律により、医療現場における長時間労働や業務量の多さを改善するため、長時間労働の上限を決めることになりました。

 

つまり、タスクシフトは過剰な労働時間を削減できたり、業務負担の偏りを解消したりするための仕組みと言えるでしょう。

2.看護師のタスクシフトの具体例

看護師にかかわるタスクシフトは、医師から看護師、もしくは看護師から看護補助者に移管される業務などがあります。ここでは、看護師のタスクの例を2つの項目で解説します。

医師の業務から看護師に移管する一例|特定行為の38行為

看護師が行なうタスクシフトとして重要なのは「特定行為」です。
厚生労働省によると、特定行為とは「診療の補助であり、看護師が手順書によりおこなう場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為」を指します。
▼参考:
厚生労働省「特定行為とは」

 

特定行為の一例は以下の通りです。

 

• 気管チューブやペースメーカー・ドレーンなどのカテーテルの抜去や調整
• 鎮静薬・持続点滴・インスリンの調整
• 症状出現時の薬剤臨時投与
• 傷の壊死組織の除去
• 動脈ラインの確保・採血

 

特定行為は、特定行為に係る研修制度で必要な研修や実務実習を受けた看護師がおこなえます。
薬剤の調整や酸素投与量の調整などは、医師が指示する手順書やプロトコル(プロトコール)に準じて看護師が実施可能です。

 

このタスクシフトをおこなうことで医師は業務量が減り、看護師は医師へ指示を確認する時間が削減できます。
速やかに患者さんにケアができるため、タスクシフトは医師や看護師のほかに患者さんにもメリットがあると言えるでしょう。

看護師の業務を看護補助者に移管する一例

タスクシフトには、看護の業務を看護補助者に移管することもあります。
厚生労働省によると、看護補助者は「看護師長及び看護職員の指導のもとで、療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動など)のほか、病室内の環境整備やベッドメーキング、看護用品及び消耗品の整理整頓などの業務」をおこなうとしています。
 

▼参考:厚生労働省「医療機関の勤務環境改善の好事例の取組の体系」

 

看護師が看護補助者に移管する一例は以下のとおりです。

 

• 患者さんの生活の世話
• 環境整備・整理整頓
• ベッドメーキング

 

これらの業務を看護補助者が担うことで、看護師の業務負担を軽減できるでしょう。

3.タスクシフトのメリット

タスクシフトのメリットは大きく4つあります。

 

1. 医療の質の向上 
2. 業務量の削減
3. 超過勤務の削減
4. 人手不足の解消

 

タスクシフトをすることによる様々なメリットを1つずつみていきましょう。

1.医療の質の向上

タスクシフトは、医療の質を向上させる効果があります。
というのも、医師の業務を看護師や薬剤師に、もしくは看護師の業務を看護補助者に移管したり共有したりすることで、医師や看護師の業務負担が軽減するからです。
患者さんの治療やケアに集中でき、より質の高い医療を提供できます。

 

さらに、医師が事前に作成した指示書をもとに薬剤の調整や処置をおこなうことで、看護師は速やかに患者さんにケアがおこなえます。

 

業務の負担を削減することで、患者さん一人ひとりと向き合い、質の良い看護が提供できるでしょう。

2.業務量の削減

タスクシフトは、業務量の削減も期待できます。
タスクシフトを検討するときに、そもそもその業務が必要であるのかについても検討するためです。
通常の業務を見直すきっかけとなり、結果として無駄な業務量の削減につながります。

3.超過勤務の削減

長時間の労働が当たり前になっている医師。
タスクシフトは、超過勤務の削減も期待できます。医師以外にもできる業務は、看護師や薬剤師に移管し、超過勤務をできるだけ短縮させて負担軽減に努めましょう。

4.人手不足の解消

タスクシフトに取り組むことで、より少ない人数で多くの業務をこなせるため、人手不足の解消に役立ちます。

 

ただし、医師のおこなっている業務を、すべての看護師が実践できるのは難しいでしょう。
そのため、誰にでもできるように、かつ統一した手順書を作成しておくことが必要です。新人や異動した看護師には、マニュアルをもとに業務ができるように教育しましょう。

4.タスクシフトのデメリット

タスクシフトのデメリットは次の3つです。

 

• 業務量の移管先の負担増大
• 業務の理解不足
• 研修や指導する時間が不十分

 

タスクシフトによって業務量のバランスが取れないと負担が増えるため、双方の理解が必要です。3つのデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

業務量の移管先の負担増大

業務の負担や過剰な労働時間を削減するために推奨されているタスクシフト。
ですが、移管先が人手不足であったり、能力が見合っていなかったりすると負担が増大する可能性があります。

 
そのため、どのような業務を割り振るのが適正であるのかなどをその都度考えていくことが重要です。

業務の理解不足

業務の理解が不足していることもタスクシフトの問題です。
移管された業務の必要性や重要性が理解できていないと、正しく業務ができません。理解不足のまま業務をおこなうことで、インシデントにつながったり、患者さんの医療に対する満足度が低下したりするケースもあるでしょう。

 

業務について不安や疑問を感じるときは、ほかの看護師と協力したり、研修や指導を受けて共通理解を高めたりすることが大切です。

研修や指導する時間が不十分

タスクシフトのデメリットは、研修や指導する時間が不十分なことです。
統一した手技やスキルを獲得するために研修・指導の時間を十分に確保しなければなりません。

 

スキルが不足していると、患者さんや家族に不信感を与え、不安を感じさせる原因にもなるでしょう。

5.タスクシフトはチーム医療の架け橋

タスクシフトとは、医療現場において業務を他職種に移管したり、共有したりすることです。
医師から看護師、もしくは看護師から看護補助者でおこなっているタスクシフトは多く、それぞれ責任をもっておこなっていくことが重要です。
お互いにタスクシフトの必要性を理解し、医療の架け橋として実施していきましょう。

 
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