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お役立ち 2024.09.19

日本医療の5つの問題点とは?最近の医療の現状と解決策をわかりやすく解説

「日本の医療の現状を知りたい」
「日本の医療の問題点は何?」
このような疑問や不安を感じていませんか。

 

日本の医療は、医療サービスの質が高いと評価されることがあります。
しかし、人材不足や医療費の高騰、高齢化社会による医療需要の増加など、さまざまな問題に直面しているのが現状です。

 

この記事では、これらの問題点を詳しく分析したうえで解決策を解説します。日本の医療業界が直面する課題を理解し、より良い医療システムの実現に向けた具体的な解決策を見ていきましょう。

▼目次

1.最近の医療の現状

日本の医療は、高齢化や技術革新の進展により大きな変化を迎えています。
高齢化社会が進む中で医療需要が増加し、医療費の高騰や人材不足といった課題が深刻化しているからです。
日本の高齢者人口は年々増加しており、それに伴って医療や介護のニーズが拡大しています。厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」によると、65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人となる予想です※。

 

これにより、慢性疾患の管理や終末期医療(ターミナルケア)の需要が増えることが推測されるため、この現状を踏まえたうえで改革を進めなければなりません。

 

※参考:厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」

2.日本医療の5つの問題点

日本の医療が直面している問題は次の5つです。

 

● 医療従事者の不足
● 働き方改革
● 高齢化社会
● 医療費の高騰
● 情報共有とデジタル化の遅れ

 

医療の問題点を把握して、これからのキャリアアップにつなげていきましょう。

医療従事者の不足

日本では、医師や看護師をはじめとする医療従事者の不足が深刻な問題です。厚生労働省によると、2025年までに6万人から最大で27万人の看護師が不足するとされています※。

 

また地方や過疎地域では、医療を提供する体制の維持が難しくなっている現状があります。実際に、患者さんが必要な医療サービスを受けるためには、長距離を移動しなければなりません。
この人材不足は、医療従事者の負担の増加や過労の原因となり、結果として医療の質が低下する可能性があります。

 

※参考:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」

働き方改革

医療従事者の長時間労働と過剰な業務負担は深刻な問題であり、労働環境の改善と業務効率の向上が求められています。
というのも、医療ミスの増加や医療従事者の健康への悪影響を引き起こし、患者さんの安全と医療の質に深刻な影響を与える可能性があるからです。

 

そのため、労働時間の短縮と業務の適正化が急務です。
例えば、超過勤務は月45時間、年間360時間が上限となり、特別な事情があっても年間720時間を超えられないようになっています。

 

しかし、医療現場での業務の適正化が進まなければ、これらの対策が効果を発揮することは難しいかもしれません。したがって、医療従事者が安心して働ける環境を整えるためには、働き方改革だけでなく、人手の確保や業務の効率化を含む包括的な対策が必要です。

高齢化社会

日本の高齢化社会は、医療需要の急増を引き起こし、医療機関のひっ迫や医療費の高騰といった深刻な課題を引き起こしています。

 

高齢者は慢性的な疾患を抱えることが多く、医療機関への受診回数が増加する傾向にあります。また、生活習慣病の増加により、医療費が増大し、国家財政に大きな負担をかけているのです。
高血圧症や糖尿病といった生活習慣病が非常に多く、高血圧症だけでも4,300万人に達する患者さんがいると推定されています※1。

 

令和3年度の国民医療費は45兆359億円で、令和2年度の42兆9,665億円 に比べ2兆694億円増加しています※2。生活習慣病の患者さんは、定期的な医療機関への受診が必要であり、医療機関のひっ迫をさらに加速させている要因の一つです。

 

このように、高齢者の医療ニーズは複雑なため、一般的な診療だけでなく専門的なケアが求められています。

 

※1 参考:厚生労働省「令和3年度健康実態調査結果の報告」
※2 参考:厚生労働省「令和3(2021)年度 国民医療費の概況」

医療費の高騰

医療技術の進歩や高齢化社会の進展に伴い、医療費の高騰が深刻な問題になっています。医療費の増加は、国民の保険料や税負担の増加につながります。
医療費の高騰は、国の財政にも大きな負担をかけており、医療システム全体の維持が困難になるリスクが高いです。

 

そこで医療費削減のための対策として、予防医療の強化やジェネリック医薬品の利用促進などが進められています。

情報共有とデジタル化の遅れ

紙ベースでの情報管理が情報共有の不備や診療効率の低下を招いています。患者さんへの迅速かつ適切な医療サービスの提供が困難になり、医療の質が低下するかもしれません。

 

例えば、ある病院では患者情報が紙ベースで管理されているため、他の医療機関との情報共有がスムーズに行われず、患者さんが再び同じ検査を受けることがありました※。

 

したがって、医療の質と効率を向上させるためには、情報共有の強化とデジタル化の推進が不可欠です。これにより、医療サービスの質を高め、患者さんに対してより迅速で適切なケアを提供できるようになるでしょう。

 

※参考:厚生労働省「医療分野の情報化の推進について」

3.医療の問題が深刻化したらどうなる?

医療の問題が深刻化した場合、私たちの健康や生活に大きな影響を及ぼします。

 

● 医療サービスの低下
● 地域医療の崩壊
● 健康格差の拡大
● 医療事故の増加
● 医療費負担が増加

 

具体的にどのような事態が生じるのか、詳しく解説します。

医療サービスの質の低下

医療従事者が不足していることにより、医療サービスの質が低下する可能性があります。
看護師の数が十分でないと、ナースコール対応や必要なケアが行き届かず、患者さんへの対応が不十分になるかもしれないからです。
ほかにも、薬剤の種類や量を間違えたり、患者誤認したりなど命に関わる事故につながるリスクもあります。

地域医療の崩壊

地方や過疎地域では、医療従事者の不足がさらに深刻化し地域医療が崩壊する恐れがあります。医療機関の閉鎖や診療科の減少により、住民が必要な医療サービスを受けられなくなる事態が生じるのです。
医療を受ける機会が大幅に減少することにより、住民の健康リスクを高めるでしょう。

健康格差の拡大

医療の問題が深刻化すると、経済的に余裕のある人とそうでない人との間で健康格差が拡大します。
経済的に余裕のある人は高額な医療サービスを受けられる一方で、経済的に厳しい人は受診を控えることが多くなるからです。これにより、低所得者層の人が適切な医療を受けられなくなり疾患の悪化やQOLの低下が起こります。
この健康格差は、社会全体の健康水準を低下させる要因になりえるでしょう。

医療事故の増加

医療従事者の過労や劣悪な労働環境が続くと、医療事故のリスクが高まり、患者さんの安全を守れなくなるリスクが高まります。
過労によって疲労が蓄積した状態での点滴や内服薬のチェックでは、判断ミスや手技のミスが発生しやすくなるからです。

 

したがって、医療事故のリスクを減らし、患者さんと医療従事者の安全を確保するためには、医療従事者の労働環境の改善が大切です。適切な休息と働きやすい環境を整えることで、医療事故を未然に防げます。

医療費負担が増加

医療費の高騰が続くと、経済的な影響が深刻化するかもしれません。医療費の増加で保険料や税金、年金などに影響を及ぼす可能性があるからです。
先述のようにさらに、経済的な理由から必要な治療を受けることをためらう人が増える可能性があり、病気が進行したり、健康状態が悪化したりするリスクが高まります。

 

したがって、国民が適切な医療を受けられるようにするために、医療費を適正化したり、負担を軽減したりする政策の見直しが不可欠です。国民が安心して医療サービスを受けられる環境を維持することが重要になります。

4.医療の問題の解決策と看護師にできること

日本の医療が抱える問題に対して、具体的な解決策を紹介し、看護師としてどのように貢献できるかをわかりやすく解説します。医療の問題の解決策と看護師にできることは次の6つです。

 

● 医療従事者の働き方改革
● 高齢化社会への対応
● ICTの活用
● 地域医療の充実
● 医療安全の確保
● 医療費の管理と最適化

 

詳しく見ていきましょう。

医療従事者の働き方改革対応

医療従事者の疲労を解消したうえで質の高い医療を提供し続けるためには、働き方改革の実施が重要です。看護師をはじめとする医療従事者は、長時間労働や過重な業務負担により慢性的な疲労やストレスを抱えているからです。
この疲労やストレスが医療ミスの原因となるため、シフト調整や業務の効率化をおこなって負担を軽減することが求められます。

 

このように、医療従事者の働き方改革を進められると、長期的なキャリアの安定を図れるでしょう。

高齢化社会への対応

高齢者のニーズに合わせたケアを提供するためには、認知症ケアや慢性疾患管理などに関する専門知識の習得が重要です。

 

例えば、認定看護師には下記のような高齢者ケアや看護に特化した専門的な資格があり、資格取得に向けてキャリアアップを目指す方法があります。
● 訪問看護
● 糖尿病看護
● 摂食・嚥下障害看護
● 認知症看護

 

また、地域包括ケアシステムの一環として在宅医療や訪問看護のスキルを高めることが、質の高い高齢者医療に貢献できるでしょう。

ICTの活用

ICT(情報通信技術)の活用は看護業務の効率化や情報共有を促進し、医療の質を向上させるために非常に重要です。
例えば、電子カルテを利用することで、患者情報がリアルタイムで共有され医療チームで同じ情報をもとにできるため連携がスムーズです。
さらに、遠隔医療システムを活用すると、病院がない地域で生活する患者さんにも適切な医療サービスを提供できます。

 

このように、看護師がICT技術を積極的に取り入れ、業務の質を向上させることが、より良い医療提供につながるでしょう。

 

▼関連記事:【医療AI】3つの活用例|看護師の業務効率化のためのAI技術を紹介

地域医療の充実

看護師は、地域医療の充実において重要な役割を担っており、地域住民の健康増進と医療水準の向上に貢献することが求められます。

 

地域医療を充実させるためには、地域住民との信頼関係の構築が不可欠です。
看護師は、地域での健康教育や予防医療活動に積極的に参加することで、住民の健康意識を高める役割を果たします。
地域との連携を強化し、積極的に健康教育や予防医療活動に取り組むことが重要です。

医療安全の確保

医療安全の確保は、看護師にとって最も重要な役割の一つです。
患者さんの安全を最優先に考え、医療ミスを防ぐためにケアの手順を厳守しなければなりません。医療現場では、わずかなミスが重大な結果を招く可能性があるため、看護師は常に高い意識を持って業務に臨む必要があります。

 

さらに、医療事故のリスクを最小限に抑えるためには、常に最新の知識と技術を習得することが重要です。これにより、質の高い医療提供を実現し、患者さんに安心を与えることができます。

医療費の管理と最適化

看護師も、医療費の管理と最適化に関わることが求められます。
例えば、不要な医療処置を減らしたり、患者さんへ予防医療を推進したりすることが、結果として医療費の削減につながります。
医療費の適正化は、持続可能な医療システムを維持するために重要な課題です。

 

2024年4月に医師の働き方改革が始まりました。この改革を機に、地域医療の充実やICTの活用が進めば、日本の医療問題の解決に大きく貢献できるでしょう。看護師として、これらの課題に積極的に取り組み、医療の質を向上させることが期待されます。

▼関連記事:医療現場は医師の働き方改革でどう変わるのか【2024年4月施行】

5.これから深刻化する医療問題に備えよう

日本の医療業界は人材不足や高齢化社会など、多くの課題に直面しています。
これらの問題を解決するためには、効果的な対策と協力が不可欠です。

看護師としてスキルアップやICT活用をおこなうことにより、医療に貢献できるように取り組みましょう。

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