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お役立ち 2024.09.24

医療のIT化の現状!看護現場における4つのメリットと導入事例を紹介

「医療のIT化ってどういうもの?」
「医療現場のIT化が進むと、看護師にメリットはあるの?」

 

近年、医療の情報化(IT化)が進められていますが、どのような取り組みがあるのか知らない看護師の方もいらっしゃるでしょう。

 

医療のIT化とは、医療現場へIT技術を取り入れることです。医療のIT化が進むことで質の高いサービスの提供や業務の効率化が期待されています。

 

この記事では医療のIT化の現状と看護現場にもたらすメリット、そして導入事例を解説します。業務の効率を図りたい、医療事故を防ぎたい看護師の方は、ぜひ最後までお読みください。

▼目次

1.医療のIT化の現状とは


日本の医療のIT化は、世界と比べて遅れているといわれています。これは、医療ITツールの普及率の低さが理由の一つです。

 

医療現場で使用されるITツールとして以下があげられます。
● 電子カルテ
● 自動化システム
● 医療情報システム
● オンライン会議ツール
● オンライン診療にかかわるシステム

 

医療のIT化は、院内の業務の負担を減らしたり、医療機関同士の連携をスムーズにできたりするため、今後も発展すると推測されています。

 

しかし、上記であげた電子カルテシステムの普及率はまだ高いとはいえません。
 

調査年 一般病院 病床規模別 一般診療所
400床以上 200~399床 200床未満
平成29年 46.7% 85.4% 64.9% 37.0% 41.6%
令和2年 57.2% 91.2% 74.8% 48.8% 49.9%

参考:厚生労働省「電子カルテシステム等の普及状況の推移」

 

厚生労働省の調査によると、一般病院の電子カルテシステムの普及率が初めて50%を超えたのは、令和2年の調査の時点です。
一方、アメリカやイギリスなどでは、電子カルテの普及率が80%を超えています※。
この結果から、世界と比較して日本の電子カルテの普及率は低いといえるでしょう。

 

※参考:厚生労働省「諸外国における医療情報の標準化動向調査」

2.医療のIT化が進まない理由

医療のIT化が進まない理由は、以下があげられます。

 

● コストがかかる
● セキュリティが不安である
● 医療従事者がITに慣れるまでに時間がかかる

 

それぞれくわしく解説します。

コストがかかる

医療ITツールの導入の規模が大きくなるほど、費用が高くなる傾向があります。
これが病院経営の足かせとなり、医療現場のIT化を見送る理由の一つとなります。
導入費用や維持費用がかかることから医療ITツールの導入をためらうケースがあり、医療のIT化が進まない要因となっています。

セキュリティに不安がある

セキュリティへの不安から、医療ITツールの導入が進まないケースがあります。
医療従事者だけでなく、個人情報の流出に不安を感じる患者さんもいるため、医療機関も医療のIT化に慎重になりがちです。

 

実際に、2022年の医療機関を標的としたサイバー攻撃は、20件ありました※。
こうした現状から、医療のIT化を進めることで患者さんの情報漏洩やシステム障害を不安に思い、導入に踏み切れないケースがあります。

 

※参考:日本医師会総合政策研究機構「医療機関へのサイバー攻撃の事例研究:民間病院・診療所の被害事例に学ぶ」

医療従事者がITツールに慣れるまで時間がかかる

医療のIT化が進まない理由の一つに、医療ITツールに慣れていないことがあげられます。
もともとITツールやインターネットなどの情報ツールに慣れていない方は、新しいツールを使いこなすのに時間がかかるでしょう。
また、新たな知識を取り入れたりトラブル対策を行ったりするには、研修やトレーニングが必要です。

 

このように医療ITツールを取り入れると、通常の業務に加えて、これらの時間を確保しなければならず、一時的に業務が進まなくなる可能性があります。

3.医療のIT化で看護師が実感する4つのメリット

医療のIT化が看護現場にもたらすメリットは、以下のとおりです。

 

● 医療安全の強化
● 業務効率化
● ケアの質の向上
● 患者さんの負担軽減・医療の地域格差の解消

1. 医療安全の強化

医療現場のIT化が進むことでヒューマンエラーの防止となり、医療の安全性や信頼性の向上が見込まれます。
たとえば、携帯情報端末とバーコードを利用した医薬品照合・数量管理システムを取り入れたことで、インシデントの件数が大幅に減少した例があります※。

 

医療ITツールの活用によって、より安全な医療を提供できるでしょう。

 

※参考:平野陽子ほか(2017)「携帯情報端末とバーコードを利用した医薬品照合・数量管理システムによる調剤過誤並びにインシデントに対する予防効果」『日本医学Vol 43,No 9』福井大学医学部附属病院,pp.505

2. 業務効率化

医療ITツールの導入で、看護師の業務効率化が期待できます。
実際に、手術前オリエンテーションにタブレット端末を使用した例では、オリエンテーションの所要時間が平均19.8分から9.9分に短縮しました※。
この事例では、指導内容を統一できたことにより、患者さんが術後のイメージをしやすくなったことにもつながりました。

 

このように、医療ITツールを使うことで看護師の業務の効率がよくなるだけでなく、看護ケアの質の向上にもよい効果をもたらすでしょう。

 

※参考: 三枝 享 井川 由貴(2018)「タブレット端末を使用した術前オリエンテーションの導入に関する看護師の認識 : 術前看護の均質化と看護業務の効率化を目指して」『山梨大学看護学会誌』要旨,pp.1

3. ケアの質の向上

業務の効率化により、看護師が患者さんのケアに時間を割けるようになると、看護の質が向上します。ある研究によれば、病棟看護師の接遇が患者満足度を左右するとされています※。

 

医療ITツールの導入で業務の効率があがると、看護師は細やかなケアを提供でき、結果的に患者さんの満足度の向上にもつながるでしょう。

 

※参考:早瀬 良 坂田 桐子 高口 央(2013)「患者満足度を規定する要因の検討 ―医療従事者の職種間協力に着目して―」『実験社会心理学研究』52 巻 2 号 p. 104-115

4. 患者さんの負担軽減・医療の地域格差の解消

医療ITツールの採用は、患者さんの受診する負担を減らしたり、地域による医療格差をなくしたりする効果をもたらします。
たとえば、オンライン診療や予約管理システムの活用で、診察の待ち時間や病院までの移動時間が減るため、医療サービスを効率的に受けられるでしょう。

 

また、オンライン診療により、居住地を選ばずに医療機関の診察が可能となり、地域間の医療サービスの質の差を縮める効果も期待できます。

4.医療のITツールの導入事例を紹介

医療現場に医療ITツールを導入したことで、看護師の業務の効率が向上したり、業務量が減少したりした事例を紹介します。
医療ITツールの導入を検討する際の参考にしてください。

医療機器と電子カルテのデータ共有で看護業務の効率化を実現

 
こちらの病院では、バイタルサインや血糖値の測定結果の入力漏れや入力ミスなどが課題でした。
そこで、問題を解決するためにNFC(近距離無線通信連携機構)を使用して業務の効率化を目指した事例です。

 

取り組み内容
・NFCを取り入れ、読み取り機にタッチするだけで電子カルテ上に測定値を反映
得られた結果
・測定から記録をするまでの工程を減らし、年間800,455分の記録時間の削減に成功
・転記ミスや入力ミスなどのインシデントが減少

参考:日本看護協会「看護業務効率化先進事例・周知事業 報告書」

オンライン診療(遠隔診療支援システム)の導入によって看護師の業務が効率化

こちらの医療機関では、オンライン診療の導入で、看護師の業務効率があがりました。

 

取り組み内容
・新型コロナウイルス感染症と肥満外来のいずれも初診からオンライン診療を実施
得られた結果
・看護師がいなくても診療できる場面が多く、看護師がほかの業務にあてる時間を確保できた

参考:厚生労働省「オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集」

5.医療のIT化は今後も需要が高まる可能性が大きい

日本の医療のIT化は先進国と比較して遅れていますが、医療のIT化が進むことで看護現場にさまざまなメリットがあります。

紹介した導入事例からもわかるように、医療ITツールは看護業務の効率向上や、患者さんの負担を減少などに効果をもたらすでしょう。

今後、高齢化による医療の需要の増加から、看護師の業務効率化の重要性が高まり、医療のIT化が進むと予測されます。医療のIT化が進むことで、より安全で効率的な医療環境になるでしょう。

 

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