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お役立ち 2024.10.29
【医療ICT】3つの活用事例|看護現場のICT導入の現状やメリットとは?
「医療ICTってなに?」
「医療ICTの導入で、看護師はどのようなメリットを感じているの?」
医療ICTの導入を検討するときに、このように悩む看護師の方もいらっしゃるでしょう。
医療ICTは、コミュニケーションに重点をおいたIT技術やツールのことです。
これらを活用することで、看護師の業務効率化や患者さんのQOL向上が期待できます。
この記事では、医療ICTを使用した実際の事例や医療ICT活用のメリットとデメリットについて解説します。医療ICTによる業務改善を考える看護師の方の手助けとなれたら幸いです。
▼目次
- 1.医療ICTとは
- 医療ICTが看護現場に必要な理由
- 医療ICTの普及率と現状
- 2.医療のICT化の活用事例3つを紹介
- オンライン面会の導入で看護師の業務効率化が図れた事例
- 地域医療情報システムの導入で患者のQOLが向上した事例
- スマートフォンの活用で業務の効率化と妊婦の利便性が向上した事例
- 3.医療ICTの3つのメリット
- 業務の効率化が図れる
- 地域の医療格差を少なくできる
- リアルタイムな情報共有で患者ケアの早期介入ができる
- 4.医療ICTの2つの課題とデメリット
- セキュリティに不安を感じる
- システムエラーが起こると業務が停滞する
- 5.医療ICTの活用で看護師の業務効率化と患者のQOL向上を目指そう
1.医療ICTとは
医療ICTとは、情報の収集や管理、共有を目的としたIT技術やシステムのことで、主に以下のものがあげられます。
● 電子カルテ
● 電子処方せん
● 電子版お薬手帳
● オンライン予約・診療
● 音声による電子機器の操作
ICTに似た用語に「IT」がありますが、ICTはITのような情報技術ではなく、人同士のコミュニケーションを重視していることが特徴です。
医療ICTが看護現場に必要な理由
医療ICTが看護現場に必要なのは、以下の課題を抱えているためです。
● 人材不足
● 業務の過重負担
● 情報の伝達ミス
● 患者安全管理の複雑さ
● コミュニケーション不足
医療ICTの活用は、これらの問題を解決するひとつの手段となります。
たとえば電子カルテを導入すると、患者さんの情報の確認や共有が迅速にできるため、患者さんの状態変化にもすぐに対応できます。
情報の伝達ミスや患者安全管理の複雑さを解決できるため、医療ICTは看護現場に必要です。
医療ICTの普及率と現状
医療ICTが必要とされている一方で、いまだに普及率が低い状態が続いています。
代表的な医療ICTの普及状況を、以下にまとめました。
医療ICTの種類 | 普及状況 |
電子カルテ | 入院設備のある病院の普及率は57.2% |
オンライン診療 | 病院全体の約15% |
電子処方せん | 病院の普及率は1.9% |
たとえば電子カルテの普及率は、アメリカやシンガポールでは80%以上ですが、日本は57.2%です。
こうした現状から、日本の医療ICTは世界と比べて遅れているといえるでしょう。
2.医療のICT化の活用事例3つを紹介
医療のICT化に取り組む具体的な活用事例を紹介します。
1. オンライン面会の導入で看護師の業務効率化が図れた事例
こちらの医療機関では、コロナ禍により面会制限を設けた結果、患者さんを心配する家族からの電話が増え、看護業務の負担が大きくなっていました。
取り組み内容 |
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1. オンライン診療システムを活用しアプリへの登録で面会予約の業務を完全自動化した 2. 専用アプリを使用できない家族は職員がサポートした |
得られた結果 |
1. 面会予約や面会業務の簡略化により計画的かつ効率的な業務遂行が可能になった 2. リアルタイムで患者の顔が見られることで家族の安心につながった 3. 電話での家族対応が1日0~1件となった |
参考:公益社団法人日本看護協会「ウィズコロナでICT促進!~患者と家族をつなぐオンライン面会の取り組み~」
医療ICTの導入は、看護師の業務負担の軽減にくわえて患者さんや家族の安心感にもつながります。
2. 地域医療情報システムの導入で患者のQOLが向上した事例
つぎの事例では、訪問看護の現場で使用したポケットエコーの画像をICTによって共有して、以下の効果が得られています。
取り組み内容 |
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1. ポケットエコーを使用してリアルタイムに地域医療連携ネットワークシステムで画像を共有した 2. その場で主治医の判断や指示をあおいだ |
得られた結果 |
1. 緊急訪問や電話相談回数が減少した 2. 観察やアセスメント、ケア計画立案にかかる時間の短縮につながった 3. リアルタイムの指示を受けられることにより患者への早期介入が可能となった |
参考:公益社団法人日本看護協会「訪問看護におけるエコーによるアセスメント導入とICTを使った医師との連携」
このように、医療ICTはリアルタイムな情報が共有でき、患者さんへの迅速なケアを可能にします。
3. スマートフォンの活用で業務の効率化と妊婦の利便性が向上した事例
こちらの医療機関では、看護師や助産師の業務負担や時間の拘束、妊婦の通院の負担が課題となっていました。
スマートフォンという普及しやすいデバイスを活用したことで、以下の効果が得られています。
取り組み内容 |
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1. 各職種が分担し、配信内容の選別と作成をおこなった 2. プロジェクトチームがシステム運用方法を決定した 3. 母親学級の予約システムを構築した |
得られた結果 |
1. 業務時間が年間150~180時間削減した 2. 年間約45万円の印刷コストが削減できた 3. スタッフの負担感が軽減した 4. 妊婦の利便性が向上した(「便利」と答えた妊婦が97.4%であった) |
参考:公益社団法人日本看護協会「スマートフォンを活用した妊婦への説明と情報提供-業務の効率化と利便性の向上をめざして-」
医療ICTの普及は、使い慣れたデバイスを活用することが効果的といえるでしょう。
3.医療ICTの3つのメリット
● 業務の効率化が図れる
● 地域の医療格差を少なくできる
● リアルタイムな情報共有で患者ケアの早期介入ができる
1つずつみていきましょう。
業務の効率化が図れる
医療ICTのメリットのひとつは、看護師の業務の効率化が図れることです。
たとえば、電子カルテを使用することで紙のカルテに手書きする必要がなくなるため、記録の作業時間が節約できます。
また、電子カルテ内の検索機能を使うと、必要な情報をすぐに見つけられます。
患者さんへの対応や報告業務がスムーズに進み、結果として業務にかかる時間を短縮できるでしょう。
こうした作業時間の短縮が、看護師の業務の効率化につながります。
地域の医療格差を少なくできる
医療ICTの推進は、地域の医療格差を埋めることが見込まれます。
専門医が少ない地方や医療資源が乏しい地域でも、診察やアドバイスを受けられ、質の高い医療が提供される環境が整うからです。
たとえば、遠隔医療システムを導入したり、医療ICTを通じて医療情報を共有したりすることが効果的です。
医療ICTが導入されることで、だれでも平等に質の高い医療を受けられることが期待できます。
リアルタイムな情報共有で患者ケアの早期介入ができる
ICT技術を活用することで、患者さんの診療情報や検査結果をリアルタイムで共有でき、迅速なケアが可能になります。
とくに訪問看護ステーションでは、医療機関から離れた場所での対応が多いため、リアルタイムの情報共有が重要です。
医療ICTが普及すれば、看護師は訪問中でも患者さんの状態をすぐに把握でき、医師との連携もスムーズになるでしょう。
4.医療ICTの2つの課題とデメリット
医療ICTは期待される効果もある一方で、看護師は以下にあげるデメリットに直面しやすいです。
● セキュリティに不安を感じる
● システムエラーが起こると業務が停滞する
くわしく解説します。
セキュリティに不安を感じる
医療ICTの導入に際して、セキュリティ面での不安から導入をためらうケースがあります。
インターネットを通じた情報共有は、患者データが不正アクセスや情報漏洩の危険にさらされる可能性があるからです。
また、情報漏洩の報道が看護師の不安を高めることもあります。
こうしたリスクを軽減し、安心してICTを活用するためには、万全なセキュリティ対策が不可欠です。
システムエラーが起こると業務が停滞する
システムエラーが発生すると、ICTに依存している業務は一時的にストップしてしまいます。
とくに、電子カルテや診療システムに障害が出た場合、患者さんの情報が閲覧できなくなり、治療やケアに支障が出ることがあります。
こうしたリスクに備えて、バックアップをとったり対応策を考えたりすることが重要です。