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お役立ち 2023.11.01
介護施設で転倒事故が起こった際の対応について解説
▼目次
1.介護施設で転倒事故が発生した時の対応
高齢者の転倒事故は避けられないものであり、転倒後の対応を適切に行えるかどうかが鍵を握ります。転倒事故が発生した際に介護職員が取るべき行動をご紹介します。
利用者の安全確保
● 意識レベルやバイタルサインのチェック
● 応援を呼ぶ
● 外傷に有無や体調の変化を確認する
● 転倒した際の状況を把握する
利用者が転倒した際に慌てて起こそうとするのは危険です。仮に骨折や頭部外傷を起こしていた場合、無理に体を動かすことで症状が悪化する可能性があるからです。
まずは安静にして、意識レベルや外傷の有無、どのようにして転んだかをヒアリングします。
転倒は軽い擦り傷程度で済むこともありますが、入院や手術が必要になるケースもあります。医療機関を受診するべきかどうか判断に迷う際は、地域によっては「♯7119」に電話で相談できます。
【骨折が考えられる場合の対応】
痛み、腫れ、変形があり自力で起き上がれないような場合は、骨折の可能性が考えられます。特に高齢者は骨粗鬆症で骨が脆くなっていることも多く、骨折のリスクが非常に高いです。大腿骨、腰椎、手首は骨折しやすい部位なので、しっかり観察が必要です。
骨折が疑われる時のRICE処置(外傷時の基本的な応急処置方法)は外傷による痛みや腫れの軽減などの効果を期待できます。
速やかに処置を行えるよう、研修や勉強会で周知しておくと良いでしょう。
● Rest:安静
● Icing:冷却
● Compression:圧迫
● Elevation:挙上
【頭部打撲が考えられる場合】
転倒した際に頭を強く打った場合、脳震とうを起こしている可能性が高いです。
意識があり受け答えが正常にできている場合でも、脳の内部はダメージを受けており、無理に動かすと症状が悪化するリスクがあります。
頭を動かさずに安静にし、意識レベルの観察や頭痛や吐き気などの症状が出ていないか体調の変化に注意しましょう。
慢性硬膜下血腫を起こした場合は3週間以上経過したあとに、意識障害や頭痛、呂律障害などが現れる可能性があります。
頭部打撲を伴う転倒のあとは、こういった症状が出ていないか注意して生活を見守ることが大切です。
利用者の家族への報告・連絡
転倒事故のあとに利用者の安全確保ができたら、速やかに家族への連絡・報告を行いましょう。
転倒した経緯や原因、怪我や体調の状況を包み隠さず伝えます。事実と異なる整合性のない報告をしてしまうと、不信感につながる恐れが出てきます。
施設側が加害者として訴訟を起こされてしまうケースもあるので、転倒事故後は利用者やその家族に寄り添った誠意ある対応を心がけましょう。
介護事故報告書の記入
介護施設で事故が発生した際は、事故の内容や記録をまとめ、発生から5日以内に報告することが厚生労働省により定められています。
死亡事故や投薬または処置など何らかの治療が必要となったケースは全て報告する必要があります。
報告書の提出は義務であり、期限内に報告書の提出を怠ると、行政の指導や最悪の場合は運営停止などの処分を受ける可能性もあります。
参考:厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」
介護事故報告書を記入する最大の目的は、介護事故の再発を防止することです。
介護事故は高齢者を対象としている施設では発生しやすい状況にあります。事故が起こった原因や背景を振り返り、事故発生のリスクの軽減、新たに取り入れるべき改善策を検討するために欠かせないものです。
2.転倒が危険とされる理由
3.高齢者の転倒の原因や特徴
内的要因
内的要因は、高齢者の身体に起きている問題です。
加齢による筋力や体力の低下だけでなく、体調不良、内服薬の副作用で眠気や倦怠感、ふらつきが生じ、転倒を引き起こすこともあります。
【加齢変化】
● 筋力の低下
● 体力の低下
● 視力や聴力の低下
● 運動速度の低下
● 姿勢の変化
【身体症状】
● 認知症(注意力・認知力・判断力の低下)
● パーキンソン病(手のふるえや筋肉のこわばり)
● 起立性低血圧(立ちくらみやめまい)
● 不整脈(めまいや意識障害)
● 変形性股関節症(可動域・バランス感覚の低下)
外的要因
外的要因は段差や障害物など、まわりの環境の問題によるものです。
● 段差や敷居
● 障害物(電気コード類・カーペット)
● 滑りやすい床
● 履き物(スリッパ・サンダル・サイズが合っていない履き物)
● 手すりのないスペース
● 薄暗く照明不良なスペース
転倒の要因は高齢者によってさまざまです。身体的特徴や服用中の薬、生活スタイルなどを考慮して、一人ひとりに合った転倒予防対策を実施していくことが重要です。
高齢者の転倒についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
▼高齢者で転倒しやすい人の特徴とは?繰り返す原因や転倒予防の対策を解説
4.介護施設における転倒事故の予防方法
転倒を予防するためのポイントをご紹介します。
バリアフリー化を行い転倒しにくい環境を整える
介護施設においては、バリアフリー化は必須だと言えるでしょう。
手すりや常夜灯の設置など、安心して歩行できるように環境を整えることで転倒を予防できます。車椅子や歩行器でも使いやすい広さで、トイレや洗面台などの生活スペースを整備していくことが理想です。
運動する習慣をつける
加齢とともに、筋力や体力、関節の柔軟性、平衡感覚の低下などが顕著に現れ始めます。バランスを保ちにくくなり、ちょっとした段差でも思いがけず転倒してしまうことがあります。
体操や散歩、レクレーションなど無理のない運動を行い、体力や平衡感覚を低下させないように取り組むことが重要です。
【転倒予防体操のポイント】
・ストレッチで柔軟性を保つ
・筋力を維持する
・バランス感覚を向上させる
介護のICT化を進める
ICT化を行うことで離れた場所からも利用者の動きを観察できるようになります。
ケアコムの見守りカメラであれば、起き上がり、端座位、離床の3動作を画像解析・検知し、ナースコールやPHSに通知します。
遠隔からでも危険動作を察知できるため、転倒予防に効果的です。
また、検知時の録画再生機能を搭載しています。転倒時の状況や原因を確認できるので、医療機関への受診の必要性や転倒予防策を検討する際に役立ちます。
詳細を知りたい方は、ぜひこちらから確認してください。
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5.介護施設で転倒事故が発生した際は、転倒後の対応を準備しておくことが大切
高齢者の転倒事故はどんなに注意していても完全に防ぐことは難しいです。介護施設においては転倒を起こさないための対策も大切ですが、転倒後の対応も非常に重要となってきます。
高齢者が転倒することで骨折や脳挫傷などを併発することが多いです。
初期対応が遅れるとADLの低下や寝たきりになるなど、深刻な事態を引き起こすリスクが高くなることを理解しておきましょう。
いざ転倒事故が発生しても冷静に対応できるよう、日頃から対策を考えておくことをおすすめします。
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