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お役立ち 2024.03.15
看護の主な課題は人手不足!5つの対策と今後の看護業界の動向を詳しく解説
少子高齢化が進む日本では、看護における課題の悩みはつきません。
看護業界全体としても、少子高齢化の影響や離職率の問題などから人手が足りなくなっています。
この記事では、人手不足をはじめとした看護の課題を取り上げるとともに対策を説明します。看護の業務量の多さや、責任の重さなど悩みを解決するための方法も詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
▼目次
1.看護業界の現状
看護業界の現状 | 概要 |
---|---|
人手不足 | ・多くの地域で看護師の人手不足が深刻化 ・高齢化社会や医療ニーズの増加による看護師の供給不足 |
地域包括ケアシステム・在宅医療の推進 | ・地域における訪問看護ニーズの増加 ・在宅での看取りのニーズ増加 |
患者さんの高齢化 | ・多数の疾患 ・要介護認定を受けた高齢者の増加 |
働き方改革 | ・看護師の労働環境や働き方に関する改革が進行 ・医師・看護師の過重労働の対策にともなうタスクシフトの推進 ・過重労働や長時間労働の是正 ・ワークライフバランス確保の要求 |
テクノロジーの導入 | 電子カルテや医療機器の操作、患者さんのモニタリングなどにICT(情報通信技術)を活用 |
COVID-19の影響 | COVID-19パンデミックにより、感染予防対策の強化を要求 |
専門化と教育の重視 | ・看護師の専門性向上の要求 ・専門的なスキルや知識を持った看護師のニーズの拡大 ・看護教育の質の向上や専門職制度の整備が進行 |
以上のように看護業界の現状は変化しており、看護における課題も見えてきます。
2.看護における3つの課題
看護における課題は大きくわけて3つあります。
● 人手不足
● 在宅看護のニーズ増加への対応
● 多数の疾患を抱えた患者さんのケア
看護業界全体が抱える課題をそれぞれ詳しく解説します。
人手不足
看護業界では、人手不足が深刻な課題です。
高齢化社会や医療ニーズの増加に伴い需要が拡大している一方で、新たな看護師の確保が追いついていないためです。
厚生労働省の調査によると、2022年度における看護師及び准看護師の有効求人倍率は2.20倍です。全産業の1.19倍となっており、看護師が人手不足であることがわかります。
団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年問題は、看護師に限らず全産業で人手不足が起こると言われています。
現役世代が減少し、看護に携わる人材不足がさらに深刻化するでしょう。
▼参考:厚生労働省「看護師等確保基本指針改定のポイント(案)」
在宅看護のニーズ増加への対応
在宅看護のニーズが増加しており、その対応が課題です。高齢化や慢性疾患の増加に伴い、自宅で医療や介護が必要な人が増えています。
しかし、在宅での医療や看護を提供する看護師の数が不足しており、質の高いケアを受けることが難しい状況の方もいるでしょう。
今後は、在宅看護の専門性や効果的なサービスの提供方法の確立が必要です。
多数の疾患を抱えた患者さんへのケア
複数の病気を抱える患者さんは増加しています。このような患者さんは、複雑な医療ニーズを持つため、適切なケアを提供するためにスキルや経験が不可欠です。
看護師は複数の疾患や治療計画を把握し、それに基づいて総合的なケアを提供しなければなりません。情報の管理やチーム医療との連携が必要であり、教育や訓練を充実させ多数の疾患を抱えた患者さんに対応していくことが重要です。
3.看護の課題である人手不足がおこる原因
ここでは、「人手不足」に絞って原因を解説します。主な原因は以下の3つです。
● 業務内容の多さ
● 不規則な勤務形態
● 訪問看護のニーズの高まり
業務内容の多さ
看護師の業務には、患者さんのケアのほかに医療記録の管理、医師や他の医療従事者との連携があります。さらに、患者さんやご家族への指導や説明、緊急事態への対応など、多岐にわたる業務を担当しなければなりません。
高齢化や慢性疾患の増加により患者ニーズが複雑化し、業務が多忙となっているのです。
結果として、看護師は疲弊して休職したり離職したりするケースが多くなっています。
そのため、患者さんの安全や満足度に配慮しながら、業務内容を見直して業務量を調整していくことが大切です。
不規則な勤務形態
24時間体制の医療施設では、夜勤を含めた交代制の勤務が必要です。
不規則な勤務形態で生活リズムが乱れたり、家庭やプライベートの時間が確保できなくなったりします。
そういったことから、「看護師を辞めたい」と考えている方は少なくありません。
日本医療労働組合連合会(医労連)が公開した「看護職員の労働実態調査」によると、2022年看護職員の79.2%が「いつも仕事を辞めたいもしくは、ときどき仕事を辞めたいと思う」という現状です。
さらに、「いつも仕事を辞めたい」と思う割合は24%であり、2000年の調査と比べると約8%上昇しています。
不規則な勤務形態に悩む看護師も多く、実際に「健康を害しており夜勤がつらい」「日勤からの深夜勤がつらい」「自分の命を犠牲にしてまで看護をしたくない」といった声があがっています。
日本看護協会が夜勤の改善に取り組んでいますが、現時点では十分に効果を発揮している状況とはいえません。
今後も、夜勤負担の軽減に向けた取り組みが必要となります。
それ以外にも要因を改善できなければ、看護師の人手不足の解消にはなりません。
そのため、看護師が働きやすい環境を整えたり、医療事故への不安を解消したりする取り組みが大切といえるでしょう。
▼参考:日本医療労働組合連合会(医労連)「看護職員の労働実態調査」
訪問看護のニーズの高まり
自宅での医療や介護には訪問看護師の役割が欠かせません。さらに、国の在宅医療の推進にともない、訪問看護へのニーズが高まっています。
ただし、2022年度の訪問看護ステーションの有効求人倍率は3.88倍であり、病院や施設に比べて高い状況です。
2023年の訪問看護ステーション数は15,697件と年々増加しているものの、訪問看護師は専門的なスキルを要したり、一定の経験が必要とされたりするなどの理由から需要に対して看護師の数が追いついていません。
▼参考:公益社団法人日本看護協会「2022年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果」
▼参考:一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和5年度 訪問看護ステーション数 調査結果」
4.看護の課題「人手不足」を解決するための5つの方法
看護の課題である人手不足を解決するためには5つの方法があります。
● 看護にロボットを導入して人手不足を解消
● 専門資格を取得して仕事のやりがいをUP
● 高齢者に対する看護教育の充実度の向上
● セルフコンパッション(瞑想)の導入
● IT導入による業務の効率化
看護にロボットを導入して人手不足を解消
看護の課題を解決するために、ロボットの導入が必要です。ロボットは、ルーティーン業務を効率的に処理し、看護師の負担を軽減します。
たとえば、電子カルテの自動入力や診療支援システムによる診断補助、薬や検体を搬送する機能などがあげられます。
ロボットの導入により看護師の業務を代用するため、看護師の負担軽減につながります。その結果、人手不足を解消でき、看護師は患者さんのケアやコミュニケーションに多くの時間を確保できるでしょう。
専門資格を取得して仕事のやりがいをUP
看護業界の人手不足の解決には専門資格の取得が重要です。
というのも、専門資格を取得すると高度なケアが提供でき、やりがいや仕事の満足度が向上し、看護師の定着につながるためです。
具体的には、救急看護や精神看護などの分野で専門資格を取得できると、より専門分野への理解が高まり看護への自信につながります。
看護師は積極的に専門資格取得を目指し、自己成長と仕事のやりがいを高めることが重要です。
高齢者に対する看護教育の充実度の向上
高齢者の特性や健康問題に焦点を当てた看護教育の拡充が必要です。
なぜなら看護師は、高齢者の健康管理やケアについてより専門的な知識を身につけることで、高齢患者へのケアがスムーズになり、対応にストレスを感じにくくなるためです。
たとえば、実践的なトレーニングやシミュレーション教育を導入し、高齢者のケアに関する実践的なスキルを磨くといいでしょう。
さらに、コミュニケーションスキルや倫理的な観点も含め、高齢者との関わり方についての教育を充実させることで臨床の場でストレスを感じる機会は減るかもしれません。
看護師が働きやすい職場を実現するためには、高齢者に対する看護教育の充実度の向上が必要といえます。
セルフコンパッション(瞑想)の導入
看護師はストレスを抱えることがありますが、セルフコンパッションをおこなうと自己理解や心の安定を促進できます。そのため、ストレスや不安を軽減でき、仕事を続ける意欲の向上に期待できるでしょう。
また、セルフコンパッションの実践は、看護師自身の心が安定し余裕を持って同僚や患者さんに接することができるため関係改善にもつながるでしょう。
セルフコンパッションを導入することで、業務に対するモチベーションや生産性が向上し看護の質の向上につながるだけではなく、看護師の定着に期待できます。
IT導入による業務の効率化
看護の課題解決には、IT導入による業務の効率化が有効です。
電子カルテや医療機器のデジタル化により、情報の迅速な共有やアクセスが可能です。
そのほか、システムや医薬品管理システムを導入することで、業務のスケジューリングや在庫管理が容易になります。さらに、遠隔モニタリングを活用することで、患者さんとのコミュニケーションや遠隔地からの医療支援が可能です。
よって、ITを導入することで看護師の業務負担が軽減され、業務の効率化が期待できます。
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