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お役立ち 2023.10.06
認知症の高齢者が徘徊する原因とは?認知症の症状から対策までを解説
徘徊は記憶障害や見当識障害など認知症の中核症状の影響や、ストレスや不安などさまざまな要因が重なって引き起こされます。
施設の中であれば見守ることができますが、外に出ての徘徊は交通事故や行方不明などの事態につながる可能性も出てきます。
介護・看護職員は原因や症状を理解して、徘徊を予防できるよう対策を行うことが重要です。
本記事では認知症の高齢者が徘徊する原因や症状、徘徊の危険性、徘徊に備えた対策について解説します。
▼目次
1.認知症高齢者の徘徊が起こる原因やきっかけ
徘徊の根本的な原因は、認知症の中核症状である「記憶障害」と「見当識障害」によるもので、さらに身体的要因、心理的要因、環境的要因がきっかけとなり行動・心理症状として現れます。まずは、徘徊の原因やきっかけについて解説します。
徘徊の原因
徘徊の原因は脳の働きが低下することによって起こる認知機能の低下、特に短期記憶障害によるものです。
記憶障害により外出した目的を覚えておくことができなかったり、慣れているはずの道を思い出せなくなったりします。また、見当識障害により自分のいる状況や時間の感覚があいまいになり、途方に暮れて歩き続けてしまうということが起こります。
【記憶障害】
● 新しいことを覚えられない
● 直近から数日前までの短期記憶が失われる
● 物忘れと違い、すべての記憶が抜け落ちる
【見当識障害】
● 時間や場所、周りの状況を理解できない
● 自分が置かれている状況が分からなくなりパニックになる
これらの中核症状に加え、身体的要因、心理的要因、環境的要因が重なった結果、行動・心理症状として徘徊が起きると考えられています。
徘徊のきっかけとなるもの
徘徊は認知症の症状のひとつですが、認知機能が低下しただけでは徘徊の症状は起こらないとされています。徘徊を誘発する因子として、身体的要因、心理的要因、環境的要因が挙げられます。
【身体的要因】
トイレに行く、食べ物を取りに行く、などで立ち上がったものの、目的を忘れて歩き始める
【心理的要因】
● ストレスによる徘徊
認知症を発症するとわけもなく不安や焦燥感に襲われることがある
● 過去の習慣や記憶によるもの
買い物や仕事、子供のお迎えなどの過去の習慣を実行しなければという衝動に駆られる
● 思考力や判断力の低下による徘徊
歩き出してすぐは目的を認識しているが、歩いている途中で思考力や判断力が失われる
【環境的要因】
入院や老人ホームや特養など高齢者施設への入居、引っ越しがきっかけで徘徊が始まることがある
徘徊の原因やきっかけは、その人なりの理由や背景があります。その人の特徴を踏まえて徘徊の対策をおこなっていくことが重要です。
2.徘徊が及ぼす危険性
3.認知症の高齢者が徘徊している時の接し方、対応方法
徘徊している際に介護者の苛立ちや焦りの感情が伝わると、強いストレスがかかり認知症の症状が悪化する可能性があります。
認知症の初期の段階では、本人が症状を自覚していることもあり非常に繊細な状態です。迷惑をかけたくないという思いから助けを求められずにいる場合もあるので、徘徊に至った理由や背景に寄り添うことが重要です。
ここからは、認知症の高齢者が徘徊している時の接し方や対応について解説します。
無理に引き止めない
まずは、本人の行動を否定せず無理に徘徊をやめさせないことが大切です。認知症の高齢者は正しいことをしていると思っているので、連れ戻そうとすると感情的になり介護者へ不信感を抱いてしまいます。無理に引き止めることはせずに理由を聞き、気持ちを落ち着かせることを優先させましょう。
傾聴し気持ちを落ち着かせる
周りから見るとあてもなく歩いているだけのように見えますが、徘徊には必ずきっかけがあり、本人は歩き回る理由があって徘徊しているケースが多くみられます。
● 買い物や仕事に行こうとする
● 子どもを迎えに行こうとする
● 探し物をしている
● 自宅だと認識できず帰宅しようとする
● 安心できる居場所を探している
ゆっくり話を聞いているうちに気持ちが落ち着き、自分から部屋や家に帰ることもあります。
そのまま徘徊に付き添う
時間が許す限り気持ちが落ち着くまで徘徊に付き添ってあげるのも効果的です。自由に歩くという目的が達成されるだけで、気持ちが落ち着くこともあります。
しかし「監視されている」という理由で付き添いを拒否する方もいるので、少し距離を置いて見守りましょう。
4.認知症高齢者の徘徊に備えた対策
認知症の高齢者を完全に見守ることは、本人にとっても介護者にとっても負担の大きいことです。
徘徊の症状を完全になくすことはできませんが、適切な対策を取ることで早い段階で徘徊に気づき、事故や行方不明などのリスクを軽減させることができます。
徘徊を防ぐための徘徊対策製品、ひとりで外出してしまったときの早期保護に役立つ対策について解説します。
徘徊対策製品を活用し徘徊のタイミングを知る
【離床センサー】
ベッドサイドの足元や居室出入口の床に敷くタイプのもので、マットを踏むことでセンサーが知らせてくれるシステムです。
歩き始めたタイミングを即座に知ることができるため、徘徊の早期発見に役立ちます。
離床センサーはマットセンサー以外にもさまざまな種類があるため、下記を参考にしてください。
▼離床センサーとは?種類や看護・介護の際の注意点を解説!
早期保護に向けた対策
万が一、外で徘徊が生じても早期に保護できるよう、以下のような準備をしておくことも大切です。
【名前や住所、連絡先を記載したものを持たせる】
認知症が進行すると名前や住所を答えられないことも多く、保護されたとしても身元の確認が難しくなってしまいます。名前や連絡先を記載した名札やキーホルダーを本人に携帯してもらうと、保護されたときにすぐに身元を確認できます。
【GPS端末を持たせる】
GPSは人工衛星を利用したシステムで、端末を持っている人の位置情報が分かるようになっています。
認知症の高齢者は自ら持って出かけるのが難しいので、衣服や靴に内蔵するタイプが確実です。
地域や自治体との連携
認知症高齢者の徘徊対策には、地域や自治体との連携は欠かせません。
● 立ち寄る可能性のあるお店や駅などを把握しておく
● 管轄の警察署に事前に知らせておく
いざという時に協力してもらえるよう、近所の交番や駅などに事情を説明しておくと、迅速な発見につながるでしょう。
5.認知症高齢者の徘徊は事前の対策が重要
認知症高齢者の徘徊の原因は、認知症の中核症状である「記憶障害」と「見当識障害」によるもので、不安やストレスなど様々な要因が重なり発症します。
ひとりで外出したものの自宅や施設に戻ることができずに行方不明者として保護されたり、事件や事故に巻き込まれ最悪の場合は死亡したりするケースもあります。
患者さん・ご利用者さんの安全を守るためにも、適切な対策を行い、徘徊を未然に防ぐことが重要です。
外へ通じる出入口の扉に電気錠を設置したり、エレベーターのボタンの押し方を複雑にするなどの対策もあります。また、ケアコムの離床センサーはマットを踏むとセンサーが検知し、歩き始めたことを通知するため、より早い段階で徘徊に気づくことができます。
認知症高齢者の徘徊は介護者にとっては負担が大きいため、徘徊対策製品を活用するのも良い方法です。
徘徊する方の介護にお困りの方は、ぜひこちらからご確認ください。