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お役立ち 2025.09.11

介護アセスメントとは?基本的な進め方と質を高める方法4つを解説

介護施設で働き始めたものの「介護アセスメントって何をどうすればいいの?」と迷う看護師もいるでしょう。
介護アセスメントは、ご利用者に最適なケアを提供するために欠かせないプロセスです。
 
アセスメントのやり方やポイントを知らないと、表面的な問題しか捉えられず、本当に必要なケアを見落とすかもしれません。
この記事では、介護アセスメントの目的や基本的な進め方、質を高める方法を解説します。現場で役立つICT活用のポイントも紹介しますので、ぜひ日々のケアにお役立てください。

▼目次

1.介護アセスメントは個人に合わせた最適なケアを提供するためのプロセス

介護アセスメントとは、ご利用者の情報をさまざまな視点から収集・評価・分析し、ご利用者に合った介護サービスやケアプランを導き出すためのプロセスです。
 
「アセスメント=情報収集」と誤解されることもありますが、実際には収集した情報をもとに生活状況を整理し、課題を抽出・分析していくことが本質です。
ここからは、介護アセスメントの目的と重要性を解説します。

介護アセスメントの目的

介護アセスメントの目的は「ご利用者に本当に必要な支援」を明らかにすることです。
身体の状態だけでなく、これまでの暮らしぶりや価値観、生活歴、住環境、交友関係なども含めて把握します。
 
そのうえで、ご利用者が望む生活や自立に向けた意向をまとめ、達成のために必要な支援や解決すべき課題、阻害する要因を見極めていきます。
この作業を通じて、個別性の高いケアプランや介護計画書の作成につなげるのです。

介護アセスメントの重要性

アセスメントを単なる情報収集で終わらせてしまうと、ご利用者が本当に望んでいる生活や必要な支援が見えなくなり、誰に対しても同じようなケアになってしまう恐れがあります。
 
また、課題や阻害要因の分析が不十分だと、チーム内での情報共有が滞り、多職種連携が機能しなくなるかもしれません。結果として、サービス満足度や生活の質の低下、健康悪化、事故などにつながるリスクも生じます。
だからこそ介護アセスメントは、ご利用者の安心・安全を守り、介護の質を高めるうえで欠かせない重要なプロセスなのです。
 
▼介護施設を含む地域医療連携についてはこちらの資料で解説しています。
医療施設・介護施設・住民・自治体が一体となる地域医療連携の仕組みづくりとは?

2.介護アセスメントの基本的な進め方

介護アセスメントは、ただ情報を集めるだけでなく、それをもとに問題を整理し、具体的な課題や支援方法につなげていくことが大切です。
ここでは基本的な進め方を解説します。

介護アセスメントシートの23項目を活用して情報を集める

介護アセスメントシートとは、ご利用者の心身の状態や生活環境、ご家族の意向などを整理するための評価表です。
介護保険制度におけるケアマネジメントの流れのなかで、ケアプランをはじめとした計画書の作成の基盤となる役割を持っています。
 
介護アセスメントシートには、以下の23の項目が設けられています。
 

項目 内容
基本情報に関する9項目 ・基本情報
・これまでの生活と現在の状況
・ご利用者の社会保障制度の利用状況
・現在使用している支援や社会資源の状況
・日常生活自立度(障害)
・日常生活自立度(障害)
・主訴・意向
・認定情報
・今回のアセスメントの理由
課題分析の14項目 ・健康状態
・ADL
・IADL
・認知機能や判断能力
・コミュニケーションにおける理解と表出の状況
・生活リズム
・排泄の状況
・清潔の保持に関する状況
・口腔内の状況
・食事摂取の状況
・社会とのかかわり
・家族等の状況
・居住環境
・その他留意すべき事項・状況

 
▼参考:介護保険最新情報Vol.1178|厚生労働省
 
項目に沿って情報を整理すると「ご利用者がどんな生活を望み、どの部分に支援が必要か」のヒントが得られます。
まずは基本的な情報収集で、ご利用者の背景を探りましょう。

情報をもとに問題・課題を分析する

収集した情報をそのままサービスに反映するのではなく、背景にある「本当の問題」を分析します。
 
たとえば「歩行が不安定で転倒のリスクが高い」という表面的な事実だけで終わらせてしまうと、一般的な転倒予防策しか取れないかもしれません。
しかし「夜間に廊下の段差でつまずきやすい」という具体的な課題まで掘り下げれば、照明の設置や段差をなくす工夫など、細かい対策を立てられます。
 
このように情報を集めて背景を分析し、ケアプランや各計画書へ反映する一連の流れが、介護アセスメントの基本的な進め方です。
 
▼関連記事:転倒転落リスクの看護計画|短期・長期目標や個別性を考慮した立案方法を解説

3.介護アセスメントの質を高める方法4つ

「介護アセスメントの質が高い」とは、一人ひとりに合った支援につながる形で情報が整理・分析され、実際のケアに活かされている状態を指します。
ここでは、現場で実践できる4つの方法を紹介します。

1.ICTの活用

「問題の本質」を把握するには、日々の小さな変化を記録し、データとして活用することが欠かせません。ICTはそのためのツールのひとつです。
具体的には、以下のICTツールが活躍します。
 

ICTの種類 期待できる効果
ナースコール 呼び出し記録を分析することで、転倒リスクや排泄習慣の把握に役立つ
見守りカメラ 夜間や居室での様子を確認し、生活リズムや行動の変化を把握できる
電子記録システム スタッフ間でリアルタイムに情報を共有でき、アセスメント結果を即座にケアへ反映できる

 
たとえば、ケアコムの見守りカメラであれば、録画映像をもとに行動パターンを客観的に確認できます。
また、ナースコールや見守りのアラートを介護記録に連携できるため、正確な記録に加えてケアの見直しにも役立ち、利用者情報の共有で入力作業の負担も削減できます。
 
スタッフの主観に頼らない分析によって、より正確なアセスメントが実現し、本質的な課題の抽出やアセスメントの質向上につながるでしょう。
 
▼ケアコムのナースコール(CICSS)介護ソフト連動をみる
CICSS-EX5
CICSS-EX3
 
▼ケアコムの見守りカメラシステムをみる
見守りカメラシステム
 
▼ケアコムの介護施設向けソリューションをみる
介護施設向けソリューション

2.定期的な見直しと再アセスメント

ご利用者の状態は時間とともに変化し、入所当初は自立していた動作も、数ヶ月後には介助が必要になる場合があります。
 
たとえば、入所時は自力で食事を摂れていた方が、嚥下機能の低下によりむせやすくなり、刻み食やミキサー食への変更が望まれるケースもあります。
こうした変化を反映せず以前と同じ食事を続ければ、誤嚥や窒息といった重大なリスクにつながりかねません。
 
定期的に再アセスメントをおこなえば、現状に即した支援へ柔軟に修正でき、ご利用者の安全を守りながら高い質のケアを維持できます。

3.多職種連携による情報共有

介護アセスメントの質を高めるには、介護スタッフやリハビリテーションスタッフ、栄養士など多職種による連携が欠かせません。
 
立場の異なる専門職が同じ情報を共有することで、ご利用者の状態をさまざまな角度で捉えられるためです。
たとえば、介護スタッフが「食事量の減少」に気づき、栄養士が「栄養バランスの乱れ」を、看護師が「嚥下機能の変化」を見極めるといった具合に、それぞれの知見を組み合わせることで課題の背景を深く分析できます。
 
このような情報共有と意見交換は、表面的な対応ではなく本当に必要な支援につながり、結果としてアセスメントの精度を高め、より質の高いケアを実現する基盤となります。
 
▼関連記事:医療の多職種連携はチームでのケアの提供!看護師の3つの役割を解説

4.ご利用者ごとの個別ケア計画への反映

アセスメントで得られた情報や分析結果は、かならず個別ケア計画に反映させましょう。
ここで重要なのは「ご利用者がどのような生活を望んでいるのか」を中心に考えることです。
 
たとえば「自分で食堂まで歩きたい」という希望がある場合は、歩行訓練や住環境の調整を計画に盛り込みます。
このように、アセスメントの結果を単なる記録で終わらせず、具体的なケア内容に落とし込むことで、個別性の高い支援が実現し、質の高いケアの提供につながります。

4.介護アセスメントの実践事例

背景
入所時のアセスメントはおこなわれていたものの、情報更新や評価が十分ではなく、ケアのやり方がバラバラになりやすいという課題があった。
ご利用者の状態変化をチーム全体で把握し、ケアに反映できる仕組みづくりが求められていた。
取り組み
・入所時と1週間後に「利用時アセスメント票」を作成
・アセスメント票に「変更事項欄」を設け、ご利用者の状態変化を継続的に記録
・毎日15分の多職種カンファレンスを実施し、小さな変化も職員間で共有
・「計画」と「評価」を一体化したシートを使い、アセスメントと振り返りを効率的におこなえる体制を整備
結果
・ご利用者の状態変化をチーム全体で早期に把握でき、ケアの標準化と質の向上につながった
・記録を通じて職員同士が互いの力量や考え方を理解し合い、教育的効果も得られた
・PDCAサイクルが回る仕組みが定着し、ケアの再現性や根拠の明確化が進んだ

 
この事例が効果的だったのは、アセスメントを一度きりで終わらせず、継続的な記録と多職種での共有という仕組みに落とし込んだためです。
 
ご利用者の変化を確実にケアへ反映でき、結果的に安全で質の高い支援を維持できたことを示しています。
ご利用者のためにサービスの継続的な「評価と見直し」について詳しく知りたい方は、下記の記事で詳しく解説しています。
 
▼関連記事:介護のモニタリングとは?モニタリングシートの例文3つと質を高める方法

5.介護アセスメントでご利用者の安心と安全を守ろう

介護アセスメントは、ご利用者の生活を理解し、本当に必要な支援を明らかにするための土台です。
適切におこなえば、生活の質を高め、事故や健康悪化を防ぎ、チームで一貫した支援を届けられます。
 
一方で、情報収集にとどまってしまうと個別性を欠いたケアになりやすく、ご利用者の望む生活を守れないかもしれません。ICTの活用や定期的な見直し、多職種での情報共有などを取り入れ、アセスメントの質を高め続けることを意識しましょう。
 
記事で紹介した方法を取り入れ、アセスメントを現場で実践する第一歩として、ぜひ以下の資料をご活用ください。
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