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お役立ち 2024.07.03

医療の多職種連携はチームでのケアの提供!看護師の3つの役割を解説

「多職種連携って?」「多職種連携やチーム医療の必要性ってなんだろう?」

 

医療の多職種連携とは、患者さんのケアを向上させるために異なる専門分野の医療従事者が協力することを指します。

 

医療を必要としている人が増えている超高齢社会の今、令和3年10月1日時点での高齢化率は28.9%とされており、今後もこの割合は高まると推測されています※。
そのため、医師や看護師、薬剤師などがそれぞれの専門知識とスキルを活かした治療とケアの提供が重要です。

 

この記事では、多職種連携とは何か、必要となった背景やメリットについて詳しく解説します。医療の現場で、多職種との関わりを深めていきたい方の参考になれば幸いです。
 

※参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」

▼目次

1.医療における多職種連携とは

医療での多職種連携とは「医療現場で医師や看護師、薬剤師のほかに理学療法士や、栄養士などの異なる専門職が協力し、患者さんに最適なケアを提供すること」です。

 

それぞれの専門職が連携し、情報を共有しながら患者中心のケアを実現することを目的としています。

医療の多職種連携はチームでケアを提供すること

それぞれの医療従事者が患者さんのケアに協力し合うことで、ニーズに応じた質の高い医療を提供できます。

 

多職種連携によって医療の質と患者満足度の向上が期待できます。

多職種連携とチーム医療の違い

多職種連携とチーム医療は、以下のようなポイントが異なります。

 

多職種連携:各専門職が協力してケアを行うこと
チーム医療:多職種連携の一環として、目標を達成するために組織化されたチームの活動のこと

 

多職種連携はより広い概念であり、チーム医療は具体的な方法や実践を指します。

医療現場に携わる職種

医療現場にはさまざまな専門職が携わっています。

 

職種 主な仕事内容
医師 患者さんの診断と治療
看護師 患者さんの日常ケアや医師の指示による医療処置
薬剤師 薬の処方と管理、薬剤情報の提供
理学療法士 患者の運動機能回復を支援
作業療法士 日常生活動作の改善を支援
栄養士 栄養管理と指導を担当
ソーシャルワーカー 患者の社会的支援を担当

 

これらの専門職が連携して、患者さんに質の良いサービスを提供します。

多職種連携が重要な理由

多職種連携は、医療の質と安全性を保つために重要です。
それぞれの専門職が協力して情報を共有し、治療方針やケアの方向性などを確認し合うことで、患者さんにより良い医療を提供できます。

 

さらに、医療事故の防止や医療の効率性を向上させるためにも、多職種連携は欠かせません。
専門性を活かし、より短時間で質の高い医療を提供できるでしょう。

2.医療の多職種連携のメリット

多職種連携のメリットは以下の3つです。

 

・患者さんが求めるニーズに対応できる
・医療とケアの質が向上する
・視野・知識の幅が広がる

 

それぞれのメリットを理解し、多職種との関わりや患者さんへのケアに活かしましょう。

患者さんが求めるニーズに対応できる

多職種連携は、患者さん一人ひとりの多様なニーズに対応するために不可欠です。
患者さんにはさまざまな背景があり、健康状態も異なるからです。そのため、治療やケアを患者さんによって変えていかなければなりません。

 

例えば、糖尿病を持つ患者さんに対して多職種が介入すると、総合的な健康管理ができます。
医師:適切な薬物療法を指導
看護師:日常生活のアドバイスを提供
栄養士:食事療法をサポート
理学療法士:運動療法を指導

 

専門知識を持った多職種の連携により、患者さんの健康と生活の質が向上し、患者満足度も高まるかもしれません。

医療とケアの質が向上する

専門職が協力して患者さんの治療計画を考えたり実行したりすることで、一貫性のあるケアができます。

 

例えば、がん治療が必要な患者さんに対しては治療をスムーズに受けられるように多職種が次のように介入します。

 

医師:治療方針を決定
看護師:治療と患者さんをサポート
薬剤師:薬物療法を管理
心理カウンセラー:患者さんとその家族のメンタルサポート

 

各専門職がその専門知識を最大限に活用することで、患者さんの治療効果が向上し、医療サービスの質も向上するのです。

視野・知識の幅が広がる

多職種連携は、医療従事者の視野と知識の幅を広げる重要な機会です。
異なる専門分野のプロフェッショナルと協働することで、違う分野の知識やスキルを学び、より多方面から物事を見る視点を持てるのです。

 

例えば、看護師が薬剤師と協力して薬物療法の知識を深めたり、理学療法士が医師と連携して診断プロセスを理解し、より効果的なリハビリ計画を立てたりできます。

 

他の職種の専門知識を共有することで、自身の専門性をさらに高めるとともに、患者さんに対するケアの質を向上できます。

多職種間のコミュニケーションが向上する

定期的なカンファレンスやミーティングを通じて、各職種が患者さんの状態や治療方針についての意見交換を行うことで、コミュニケーションの向上が期待できます。
これにより、それぞれの職種がお互いを理解でき、さらに協力できるでしょう。

 

また、コミュニケーションの改善は、医療ミスの防止につながります。各職種が円滑に情報を共有し連携して動けると、より効果的かつ効率的なケアが提供されるといえます。

3.多職種連携における看護師の3つの役割

多職種連携の中で、看護師は患者さんの観察、多職種と患者さんの仲介役、退院後の生活に向けた指導と教育といった重要な役割を担っています。その役割を一つずつ分けて解説します。

患者さんの観察

看護師は、患者さんの状態を観察する重要な役割があります。

 

患者さんのバイタルサイン(体温、脈拍、呼吸数、血圧など)や症状の変化を細かく記録し、患者さんの行動や言動からも健康状態を評価することが重要です。
突然の発熱や血圧の急上昇、呼吸困難などの症状を迅速に把握し、適切な処置を行うことで、患者さんの安全を確保します。

 

看護師の観察力は、医師が適切な治療方針を決定するための貴重な情報源となり、患者さんに適切な医療を提供しやすくなるでしょう。

多職種と患者の仲介役

看護師の役割のひとつは、多職種と患者さんとの間の重要なコミュニケーションの橋渡しです。
医師や薬剤師、栄養士などからの指示や情報を患者さんにわかりやすく伝えるだけでなく、患者さんからの質問を専門職に伝える役割も欠かせません。

 

例えば、医師の診断結果や治療方針を患者さんに説明したり、薬剤師からの薬の服用方法や副作用についてのアドバイスを患者さんに伝えたりすることもあります。また、患者さんの不安や疑問にも対応し、安心感を与えるきっかけになるでしょう。

 

この仲介役を通じて、患者さんのニーズや希望が適切に反映され、患者中心のケアが実現するのです。

退院後の生活に向けた指導と教育

患者さんが退院後スムーズに生活できるように指導と教育を行うのも看護師の役割です。

 

退院後も患者さんが自己管理を行えるように、薬の正しい服用方法や食事療法、運動の方法、傷のケアなどについて具体的なアドバイスをします。
さらに、患者さんやその家族に対して、退院後の生活に必要な知識やスキルを教育することで、再入院のリスクを低減できます。

 

必要に応じて地域の医療機関やサポートサービスを紹介し、継続的なケアが受けられるように支援し、患者さんの健康維持と生活の質の向上をサポートするのが重要です。

4.多職種連携のデメリット

多職種連携には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。これらの課題を理解し、対策を講じることが重要です。

医療従事者の人手が不足している

多職種とのスムーズな連携を実現するためには、多くの医療従事者が必要であるものの、医療現場では人手不足が問題です。

 

医師や看護師、薬剤師、理学療法士などの専門職が十分にそろわない場合、連携が図れず、患者さんへのケアが十分に行き届かなくなることがあります。
特に、地方の病院やクリニックでは、専門職の数が限られているため、多職種連携の実現が難しい場合があるのです。

 

このような状況を改善できなければ、一人ひとりの医療従事者に過度の負担がかかり、ストレスやバーンアウトのリスクも高まるでしょう。

 

▼関連記事:看護の主な課題は人手不足!5つの対策と今後の看護業界の動向を詳しく解説
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役割が曖昧

多職種連携では、それぞれの専門職の役割が明らかでない場合があります。
役割がはっきりしないままだと、ムダな業務が発生したり抜けたりして、効率的なケアが提供できなくなるのです。

 

例えば、医師がいない場合、患者さんの状態変化に合わせた薬剤や酸素の投与量の変更ができず混乱が生じる可能性があります。

 

そのために、指示を明確にする指示書の作成や定期的なカンファレンスが必要です。
各専門職の役割と責任を明確にし、定期的なコミュニケーションを通じて確認することが重要です。

コミュニケーションと情報共有が難しい

多職種連携には、異なる専門職間でのコミュニケーションと情報共有が不可欠です。
しかし、ほかの職種が使う用語や捉え方が異なるものもあり、誤解や情報の伝達ミスが起こりやすくなります。

 

さらに、忙しい医療現場では、定期的なミーティングや情報共有の時間を確保することが難しい場合があります。このような課題を克服するためには、電子カルテの活用や定期的なカンファレンスの開催などが有効です。

 

これらのデメリットを認識し、適切な対策を講じることで、多職種連携の効果を最大限に引き出せます。

5.医療の多職種連携は患者のニーズが満たされる大切な仕組み

医療の多職種連携とは、患者さんのケアを向上させるために異なる専門分野の医療従事者が協力することです。

 

患者ケアの質と安全性を向上させるために不可欠です。異なる専門分野の医療従事者が協力し、包括的な治療を提供することで、患者満足度が高まり、医療事故減少につながるでしょう。

 

医療の質が向上し、患者さんと医療従事者双方にとって大きなメリットがもたらされるでしょう。