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お役立ち 2025.08.23

看護師にコミュニケーションはなぜ必要?大切なことと5つの課題を解説

看護師にとってコミュニケーションは、患者さんの安全や満足度につながる重要なスキルです。
申し送りや患者対応、他職種との連携など、日々の業務には伝える力・聴く力が欠かせません。うまく伝わらないことでトラブルや間違いにつながるケースもあり、日常的にスキルを磨く必要があります。
 
この記事では、看護師に求められる基本的なコミュニケーションの考え方や、現場で役立つ工夫を解説します。
「自分の伝え方に自信がない」「忙しくてうまく話す時間がとれない」と感じている看護師の方は、ぜひ最後までお読みください。

▼目次

1.看護現場でのコミュニケーションの目的と重要性

看護におけるコミュニケーションは、単なる情報のやり取りではありません。
 
患者さんの小さな変化を共有して状態の悪化を防ぎ、安心してケアを受けられる環境づくりにつなげるためのものです。また、看護師同士や多職種との連携がスムーズになると、医療事故のリスクを下げるだけでなく、業務効率も向上します。

たとえば、ある病院では申し送りの際に情報が十分に伝わらなかったことで、薬の投与時間がずれたという事例がありました。このように、コミュニケーション不足は患者さんの不利益につながる恐れがあります。

2.看護師のコミュニケーションで大切なこと

看護の現場でのスムーズで誠実なコミュニケーションは、信頼関係の構築や医療の質を保つうえで欠かせません。
ここでは、看護師として心がけたいコミュニケーションの基本について紹介します。

相手の話を丁寧に聴く姿勢をもつ

コミュニケーションの場面では、ただ話を聞くだけでなく、目を見てうなずくといった関心をもって聴く姿勢が大切です。
患者さんの表情・言葉の裏にある感情をくみとる力は、よりよいケアにつながります。スタッフ間でも、相手の考えを理解しようとする態度が信頼関係を深めます。

伝えるタイミングをつかむ

忙しい現場では、話す内容だけでなく「いつ伝えるか」も重要です。
相手の手が空いた瞬間に要点だけを伝えたり、落ち着いている時間を選んだりすることで、話が伝わりやすくなります。
感謝やねぎらいの一言を添えると、関係性がより良好になるでしょう。

相談しやすい雰囲気をつくる

表情や態度が冷たく見えると、普段は温厚な看護師でも相談しづらくなります。
ナースステーションでの雑談や立ち話の時間を大切にしたり「私も経験したよ」といった共感の言葉を伝えたりして、相手に安心感を与える雰囲気づくりを心がけましょう。

3.看護師のコミュニケーションがうまくいかない理由5つ

コミュニケーションが大切とはいえ、スムーズにおこなうには看護師ならではの以下のような課題があります。
 
● 忙しさによるコミュニケーション時間の不足
● 個人の性格や経験の違いからくる意思疎通のズレ
● 言葉選びや伝え方の難しさ
● 職場の上下関係や風通しの悪さ
● ICTツールの活用不足による情報共有の滞り

 
詳しく見ていきましょう。

1.忙しさによるコミュニケーション時間の不足

複数の患者さんのケアを並行しておこない、緊急対応も頻繁に発生するなかで、十分なコミュニケーション時間を確保することが難しい場合があります。
 
具体的には、以下のような場面です。
 
● 夜勤明けの申し送り時間が限られ、重要な患者情報を十分に伝えられない
● 患者さんから「先生はいつ来るの?」と質問されても、ほかの業務に追われてしっかりと説明できない

 
このような状況が続くと「とりあえず急ぎの情報だけ」という表面的な情報共有になりがちで、患者さんの細かな変化やスタッフの悩みを見落としてしまうリスクが高まります。

2.個人の性格や経験の違いからくる意思疎通のズレ

看護師それぞれが持つ価値観や経験年数、看護観の違いにより、同じ言葉でも受けとり方に大きな差が生じることがあります。
 
たとえば、先輩看護師が「患者さんの状態をもう少し細かく記録してね」と伝えたときに、以下のような捉え方の違いが起こりがちです。
 
● 経験1年目の新人看護師:「自分の記録が雑だと注意されたのかも」とプレッシャーを感じる
● 急性期病棟4年目看護師:「いつ急変するかわからないから詳細な記録は当然」と納得できる

 
このような経験や専門分野による「当たり前」の基準の違いが、コミュニケーションのズレを生む原因となります。

3.言葉選びや伝え方の難しさ

注意や指導をおこなう際の言葉選びは、看護師にとってとくに難しい課題の一つです。
あえてやわらかく伝えたつもりでも、受け手にとってはキツく響いたり、あいまい過ぎて意図が伝わらなかったりすることがあります。
 
たとえば、以下のようなあいまいな表現は、改善につながりにくい傾向があります。
 
● もう少しちゃんとして
● 気をつけて
● しっかりやって

 
このような言葉では、どの部分をどのように直せばいいのかがわからず、受け手に不安や戸惑いを与えかねません。
 
▼関連記事:看護師のリーダー業務はつらいだけじゃない?!5つの業務内容とつらい理由、おさえておきたい大切なことを解説
 

4.職場の上下関係や風通しの悪さ

医療現場はチームでの連携が不可欠である一方で、上下関係が厳格な職場では、自由な意見交換や相談が難しいケースがあります。
 
とくに新人看護師は、以下のような不安を感じやすいものです。
 
● こんな基本的なことを聞いたら怒られるかも
● 先輩が忙しそうだから、質問するのは申し訳ない
● 前に質問したときに冷たくされたから、もう聞きたくない

 
このような雰囲気が続くと「後輩が相談を控える、先輩は問題なしと判断する、実際には間違いが発生していた、なぜ早く相談しなかったのかと叱責される」という悪循環が起こりやすくなります。
実際、日本看護協会の「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」でも、24歳以下の看護師のうち9.8%が「上司との関係」を理由に退職したいと考えていました。
 
この結果からも、風通しのよい職場づくりが若手看護師の定着や成長につながることがうかがえます。
 
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▼参考:2023年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果|日本看護協会
 

5.ICTツールの活用不足による情報共有の滞り

ICTツールは看護業務の効率化を支える重要な手段ですが、十分に使いこなされていない現場では、情報共有の質が低下することがあります。
 
たとえば、以下のような問題が発生しがちです。
 
● 電子カルテの記録が簡素過ぎて、あとから口頭で確認が必要になる
● ナースコールの多機能性を活用できず、患者さんの部屋まで都度確認に行く
● スタッフ間の情報伝達が口頭でおこなわれ、忙しい時間帯に伝わらない

 
「ツールを導入した目的が現場に共有されていない」「使いにくいシステム設計で業務に合っていない」といった背景も影響しています。
その結果、無駄な移動や確認作業が増え、コミュニケーションの機会も圧迫されてしまいます。
 
▼関連記事:【医療ICT】3つの活用事例|看護現場のICT導入の現状やメリットとは?

4.看護師がコミュニケーションスキルを高める方法

コミュニケーションは、生まれ持った才能ではなく、日々の実践のなかで少しずつ磨いていく「技術」です。
ここでは、看護師が現場で実践しやすいスキルアップの方法を解説します。

言語コミュニケーションで伝え方を工夫する

言葉によるやりとりは、患者さんとの信頼関係はもちろん、スタッフ間の連携強化にもつながります。
つぎのようなポイントを意識しましょう。
 
● 結論から伝える
● 「お願い」や「感謝」の言葉を添える
● 否定よりも「こうするともっとよくなる」と提案を意識する
● 相手の理解度に合わせた言葉を選ぶ
● 「伝わっていますか?」と確認の言葉を入れる

 
たとえば「それは違うよ」と言うよりも「こうするともっと安全にできるかも」と伝えるほうが、相手のモチベーションを損なわずに改善を促せます。

ロールプレイや研修で実践的に学ぶ

座学や日常業務だけでは身につきにくいコミュニケーションスキルも、ロールプレイやシミュレーション研修を通じて学べます。
 
「忙しそうな先輩に声をかけたいとき」「同僚の間違いに気づいたが指摘しづらいとき」といった現場でありがちな場面を想定して練習することで、実際の対応力が磨かれます。
施設内の勉強会やオンライン研修などを活用して、定期的に自身のコミュニケーションに対する振り返りの時間を持ち、スキル向上を目指しましょう。

フィードバックを通じて相互に成長する

良好なコミュニケーションには、フィードバックをとおして相手の成長を後押しすることが欠かせません。
 
フィードバックで大切なのは「何がダメだったか」ではなく「どうすればもっとよくなるか」という視点です。たとえば「声が小さいよ」ではなく「患者さんに安心してもらえるように、もう少し大きな声だと伝わりやすいかもね」と伝えると、相手も前向きに受け止めやすくなります。
 
自分が受けとる側のときには、防御的にならずに「学びの機会」として前向きに捉えましょう。

観察力と非言語コミュニケーションを鍛える

表情・声のトーン・姿勢といった非言語のサインは、看護師同士のやりとりでも重要です。
たとえば、困っている後輩が何も言わずにいても、目線や動きのぎこちなさから「助けを求めている」と気づける場合があります。
 
また、聴く側も眉間にしわを寄せたままでは話しかけにくくなってしまうため、目を合わせてうなずく、おだやかな声で話すといった工夫で「聞いているよ」という安心感を伝えましょう。

5.看護師がコミュニケーションを円滑にするための工夫

看護師同士のコミュニケーションをスムーズにするには、ツールを活用して業務を効率化するのも一つの方法です。ここでは、現場で取り入れやすい工夫を解説します。

ICTツールを活用する

ICTツールは、スタッフ間の情報共有をスムーズにし、声かけの手間や伝達漏れを減らします。
たとえば、ケアコムのナースコールには、チャット機能や記録の一元管理機能があり、情報が即座に共有されます。
直接話す余裕がない場面でも、こうした仕組みが円滑な連携を支え、コミュニケーションの機会を生み出すのです。
 
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業務の見える化を取り入れる

業務の見える化によって、どこに無駄があるかを把握できれば、効率よく動けるようになり、時間にゆとりを持てます。
たとえば、業務支援サービスを活用すると、記録や進捗管理が効率化され「本当は後輩に教えたいけど時間がない」といった課題を解消しやすくなります。
 
結果として、コミュニケーションの機会も生まれやすくなるでしょう。
「どのようなシステムがあるのかわからない」「導入するために何をすべきか知りたい」といった疑問が浮かんだ看護師の方は、ケアコムの無料の資料を参考にしてください。
 
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6.看護現場でのスムーズなコミュニケーションがもたらす効果

コミュニケーションが円滑な職場では、患者さんの安心感が高まり、医療の質やスタッフの働きやすさにもよい影響をもたらします。
日々の声かけや情報共有が、どのようなメリットにつながるのかを見ていきましょう。

患者満足度と信頼関係の向上

看護師同士のスムーズな情報共有により、患者さんは「自分のことをよく理解してくれている」と感じやすくなります。
申し送りや引き継ぎが適切にできると、患者さんの個別のニーズや細かな配慮がチーム全体で共有され、一人ひとりの状態に合わせた対応ができます。
 
▼関連記事:ペイシェントハラスメントの事例5つ!患者対応と環境整備を解説
 

医療事故やトラブルの減少効果

声かけが足りないと、ちょっとした思い違いが重大な事故につながることもあります。
岡本悦子らの「看護師が多職種のエラーを指摘する行動に影響を与える要因の検討」によると、医療事故防止にはコミュニケーションを強化してチームパフォーマンスを高めることが重要とされています。
コミュニケーションの質の向上は、安全な医療を支える土台づくりにもつながるといえるでしょう。
 
▼参考:看護師が多職種のエラーを指摘する行動に影響を与える要因の検討|岡本悦子
 

チームワークの強化と職場環境の改善

良好なコミュニケーションがおこなわれている環境は、職場全体の雰囲気を明るくし、スタッフの働きやすさにもつながります。
たとえば「申し送りの内容がしっかり伝わっていて安心した」といった声があると、お互いの信頼感が高まりやすくなります。
それにより、得意分野を活かした役割分担や協力が生まれ、チーム全体の業務効率も向上するでしょう。
 
▼関連記事:医療の多職種連携はチームでのケアの提供!看護師の3つの役割を解説
 

業務効率化と看護師の負担軽減

ICTツールの導入や業務の見える化によって、情報の行き違いや無駄な確認作業が減り、時間と心の余裕が生まれます。
その分を新人教育やケアにあてられるため、組織全体の質向上にもつながるでしょう。
 
▼関連記事:看護師の業務改善とは業務マニュアルの見直し!具体例を詳しく紹介

7.看護師としてコミュニケーションを円滑にして病院全体の質を高めましょう

スムーズなコミュニケーションは、患者満足度の向上や医療事故の防止、職場環境の改善にも直結します。
 
看護師一人ひとりが「伝える・聴く・気づく」力を意識して磨いていくことで、チーム全体の信頼関係が強まり、結果として病院全体の質の向上にもつながります。
日々の実践に加え、ICTの導入やフィードバックの活用など、できる工夫から取り入れていきましょう。
 
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