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お役立ち 2023.12.05
介護施設からの脱走にどう備える?脱走の対策や予防方法を解説
高齢者が利用している施設で問題になりやすい事故として、施設からの脱走があります。
高齢者の脱走は交通事故や行方不明、最悪の場合は死亡してしまうケースもあり、施設側としてはなんとしてでも防ぎたいものです。
そこで、今回の記事では施設からの脱走を防ぐための対策について解説します。高齢者が脱走する理由や、実際に起きた脱走事例についてもご紹介します。
▼目次
1.介護施設からの脱走を防ぐための対策・予防方法
システムでのセキュリティ対策を施す
・建物や各介護ユニットの出入り口は電気錠で常時施錠する
・エントランスの出入口にセンサーを設置する
・エレベータをカードや暗唱番号方式にする
・カメラでの録画を行う
システムの導入を行い物理的に脱走しづらい環境を整えることで、未然に脱走を防ぎます。
介護施設での見守りシステムについてこちらで解説しています。
▼高齢者や介護施設の見守りシステムとは?導入のメリットや導入事例を紹介
見守り・巡回を徹底する
患者さん・ご利用者一人ひとりに目を向けて、見守りや巡回を徹底することが脱走を予防することにつながります。
帰宅願望が強い患者さん・ご利用者や、いつもと比べそわそわして落ち着かない様子が見受けられた場合は特に注意が必要です。
認知症を発症している方は、何かを思い出したように急に施設の外へ出てしまうことがあります。
意味もなく飛び出してしまうようにみえますが、本人の中には仕事や買い物に行くつもりだった、子どもを迎えに行こうと思った、などの明確な目的があることがほとんどです。
患者さん・ご利用者に寄り添い、こまめにコミュニケーションをとることで、こうした小さな変化に気づくことができるでしょう。
介護施設の見守りについてはこちらで解説しています。
▼介護施設における見守りとは?目的や方法、見守りサービスについても解説
スタッフ間で情報を共有する
脱走のリスクが高い患者さん・ご利用者がいる場合、介護スタッフ全員で情報を共有し注意を払う必要があります。
介護施設は24時間体制で営業しているところも多く、業務の申し送りが行われることがほとんどです。
今すぐに脱走しそうにない状態であっても、脱走リスクが高いと判断した場合は他のスタッフへ伝えて連携をとることが大切です。業務の優先順位やスタッフの配置を検討するなどの対策を行うことで、脱走を予防できる可能性が高くなります。
定期的な外出やレクリエーションを行う
少し工夫を取り入れるだけで脱走の予防に効果を発揮します。
・散歩や外出する機会をつくる
・楽しみや役割をつくる
・行動パターンを理解する
散歩や近所への買い物などで、定期的に外出する機会を持っておくことは脱走予防に効果的です。
施設の中だけでの生活では圧迫感を感じ、外に出ようとしてしまいます。外出する機会を設けておくことで気分転換となり、突発的な脱走の予防に繋がるでしょう。
集中して楽しめる手作業やレクリエーションがあれば、そわそわして動き回るのを予防できます。
また、洗濯や掃除など軽めの家事をお願いすることで、ここが自分の居場所だと認知して施設での生活に馴染めるようになります。
利用者の行動パターンを理解することも大切です。
朝からそわそわ落ち着かない方もいれば、日が暮れる頃に「夕飯の買い物に行かないと」と出入り口に向かおうとする方もいて、脱走の予兆は人によって様々です。
患者さん・ご利用者一人ひとりの行動パターンを知っておくと、脱走を見つけやすくなります。
2.高齢者が介護施設から脱走する理由
施設から脱走してしまう高齢者は多いです。なぜ高齢者は脱走してしまうのでしょうか。
高齢者が施設から脱走してしまう理由は大きく分けて次の2つです。
認知症の症状のひとつ
認知症の中核症状として現れる行動・心理症状(周辺症状・BPSD)のひとつに徘徊があります。徘徊はただ歩き回っているだけのように見えますが、持ち物や居場所を探していたり、過去の習慣で仕事や買い物に出かけたりと目的がはっきりしているケースが多いです。
施設内でそわそわと歩き始めていた高齢者が、職員が気づかないうちに屋外へ出てしまうこともあります。
徘徊する原因や対策はこちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
▼認知症の高齢者が徘徊する原因とは?認知症の症状から対策までを解説
施設での生活に慣れない
ご自身の希望で介護施設を利用する方がいる一方で、ご自身の体調の変化や家族が介護するのが難しくなったなどの理由で仕方なく利用している方もいます。
後者の場合、「ここは自分がいるべき場所ではない」「住み慣れた自宅に帰りたい」という気持ちが強く、脱走へ繋がると考えられます。
3.施設からの脱走の事例
高齢者のなかでも認知症を患っている方は、施設からの脱走リスクがつきものです。
ここからは実際に起きてしまった脱走の事例についてご紹介します。
60代後半の男性は身体に障害がないものの、認知症の重い患者さん・ご利用者で、介護老人保健施設のショートステイを初めて利用することになりました。初日の夜中に夜勤職員が巡回すると、居室に姿が見えません。夜勤職員は他の職員と朝まで施設内を探しましたが発見できず、翌朝職員総動員で周辺の捜索を行いました。数時間後、施設から数百メートル離れた川に転落して亡くなっているところを発見されました。
見守りもセキュリティも万全で初めての事故であったが、遺族は施設を相手取って訴訟を起こしました。
4.介護施設から脱走した際の責任
・介護施設側が損害賠償を負うケース
脱走歴があったにも関わらず、脱走に対する安全対策が取られていなかった場合
・介護施設側に損害賠償責任がないとされるケース
脱走の予測ができなかった場合
家族が意図的な脱走や徘徊の可能性を施設側に伝えていなかった場合
5.脱走してしまう理由や原因を正しく理解して対策をとっておくことが大切
介護施設からの脱走は、どのような施設であっても起こりうるものです。
しかし、患者さん・ご利用者への見守りや声かけをこまめに行うことで、脱走の予兆を早急に発見し未然に防ぐことができます。
また、スタッフ間での連携も欠かせません。帰宅願望が強くそわそわしている患者さん・ご利用者がいる場合は情報共有を行い、普段より見守りや巡回を強化することも脱走予防に効果的です。
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